教育福島0014号(1976年(S51)09月)-034page
わが市の社会教育
高齢者に生きがいと安らぎを
白河市教育委員会
一、高齢者教育の拡充
本市の人口は約四万三千人で、総人口の七%強(約三千二百人)が高齢者である。
今後、平均寿命の延長、若年層の人口流出、出生数の減少等により、高年齢層が増えることはまちがいない。
高齢者はいつの世の中でも孤独である。職からはなれ、著いと病魔が親しかった友を奪い、さらに長年つきそったつれあいをも無情に引きさいていく。
肉体の衰えだけでなく、まわりの者の厄介者扱いがいっそう孤独感を深めていく。そのように、失業、無為、病苦、孤独、不安といったものがいり乱れる生がいの谷間に大なり小なり落ちこんでいるのが高齢者である。
現在、高齢者と称されているお年寄りは、明治生まれの人々である。昭和生まれが国民の八割ちかくを占め、明治はおろか、大正さえもすでに遠い存在になりつつある今日である。高齢者のかたがたは、若き日に大正デモクラシーをおう歌し、壮年期におよんできびしい敗戦を経験し、その晩年に今日の社会の激動期を迎えているのである。
これらの高齢者が自らの力で失業、無為、孤独、病苦、不安等をどのように克服していくか、すすんで現代の激動する社会の変化に、どのように対処していくか、更に、その長い人生経験を基底にして、あるべき価値をどのよように創造していくか、これらはいずれも高齢者が持つところの重要な課題であると思う。
そして、この課題解決のために要請されるものはなにか。
それは、高齢者自らの意志と力で己を高める努力と、社会教育行政が生きがいと安らぎの場の設定を積極的に拡充してやることであると考える。
二、高齢者教育のねらいと現状
本市の高齢者教育のねらいは、次の四点である。
(一)、高齢者が、その立場にふさわしい社会的能力を高め、資質の向上を図り、健康で明るい生活をおくること。
(二)、自分の地域の高齢者同志の仲間づくりを推進し、孤独の解消を図り友情の輪を広げること。
(三)、主体的な学習をとおし、生きがいと安らぎを自らの手で獲得し、余力を社会に還元すること。
(四)、高齢者が平等に学習できる機会と場の設定を積極的に推進すること。
これらのねらいを達成するために、高齢者教育を左表のように拡充してきた。
血圧測定と健康相談
真剣な学習風景