教育福島0014号(1976年(S51)09月)-044page
福島の文化財
県指定重要文化財
桙衝神社本殿一棟・附棟札十二枚
岩瀬郡長沼町桙衝字亀居山97
桙衝神社本殿(覆屋の中に鎮座)
この神社そのものは、いわゆる「延喜式神名帳」に式内社として登載がある。その後の消長は明らかでないが、現在の本殿の建立については、「奉修造奥州宗社磐瀬郡惣鎮守桙衝大明神本地十一面観自在菩薩社堂一構」と記す慶安元年(一六四八)五月の棟札と、保存されている同年月の記名ある「祈年祭祓」末尾の記載から、白河城主松平忠次の命によるこの時期のものと判定される。
建物は、桁行三間梁間三間(五・六メートル×五・一メートル)切妻のいわゆる流造三間社といわれるものである。木羽ぶきで三方に縁を付した形は、とくに珍しくないが、細部に時代と地方色を示している。たとえば、妻飾、大瓶束の結綿部分、虹梁の上下面、懸魚の形などがそれである。
本殿に関する棟礼は、前記の分を除いて、明治年間までの分で十一枚保存され、修理、屋根替えなどの経過をよく示すとともに、奉行、大工氏名とともに名主・氏名なども記載され、営繕組織の記録としても重要である。