教育福島0016号(1976年(S51)11月)-038page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

福島県教育センターから

 

小学校理科移動講座

南会津地区会場より

 

一、はじめに

 

『探究の過程の重視』『科学の方法の体得』という言葉は、いまさら耳新しいことではないが、これらの内容を実験・実習を通じた理科授業の中に生かし、しかも、それが本当に子供のものにするためには、指導上かなりの努力を要するものです。

そのための指導法の研究もさることながら、教材の構造、及びその基盤となる教材そのものの持つ内容の研究を深めなければならないと思います。

教育センターでは、先生がたのこれらの研究の手だすけのために、その目的に応じ、講座を持っております。

特に、理科教育においては、実験・実習が大きなウェイトを持つため、これを中心的内容にした講座、つまり、小学校理科移動講座を約十年ほど前から実施して好評を得ています。

今回は、この講座について御紹介したいと思います。

さて、今年は県内九会場で催し、その内容は、

A領域、植物のつくりに関する教材

B領域、溶液の濃さについての教材 磁石に関する教材 力に関する教材

C領域、天体の動きに関する教材

などとなっています。

参加人数は、実験器材の運搬などの関係もあって各会場二十四名で、約三日間研修が行われています。

今年は、現在まで、八会場(県内各教育事務所単位に)まで終了し、つい最近では、南会津の田島小学校で講座がありました。

その様子を紹介します。九月二十八〜九月三十日までの三日間、先生がたは本当に熱心に研修されました。まずこの会場に参加された中の二人の先生からの感想を紹介しましょう。

 

理科移動講座受講感想文

 

南郷第二小学校 外島 富子

 

教育センターから、実施要項をいただいたときは、見ただけでむずかしそうに感じた。この講座に出席して、どれだけできるだろうかと、心配しながら出席したのが私のいつわらざる心境である。

しかし、講座のスタートから終了までの講義と実験内容は、毎日の理科指導にすぐ役立つ内容であり、しかも、おもしろく親切に指導していただいたために、不安がいっぺんに消え去り、安心して楽しく学習することができた。したがって最初は長くて困ったと思った日程も短かく感じた。この講座を通じて勉強になったことは、

1実験観察に必要な準備が非常によく整っていて、実験しやすかったこと。

2安全で、興味をもって実験観察ができるようなアイデア教材があったこと。

3わからなかったいくつかの実験のしかたがわかったこと。

4、実験器具の操作や製作。グラフの書き方など、自分でやってみるとわからないことが多くて困ったこと。

5、実験中は、夢中なために、先生の話は耳にはいらないこと。

以上、未熟な受けとめ方ではあるが有意義であった。また、近くの会場でこのような講座を受講できたことを、しあわせに思うとともに、今後の指導に生かして行きたいと思う。

 

田島町立針生小学校 高橋 政雄

 

九月二十八、二十九、三十日の三日間子供たちから離れ、理科移動講座を田島小学校で受講しました。教える立場から学ぶ立場に変わって、教育センターの先生がたのお話をひとことももらすまいといっしょうけんめいでした。

三日間の理科移動講座は、あっと思うまに過ぎてしまいました。しかし、内容は、磁石に始まり磁気シールド製作、磁気誘導、電流の磁気作用など物理に関すること、顕微鏡の使用法、カビや葉の表皮細胞のプレパラート作り、根毛の観察など生物に関することなども豊富でした。

また、各学年の教材に合わせ、くわしくわかりやすく指導して下さり、実験のポイントや指導する時のポイントなど、細かいところまで気を配った内容で、すぐにでも児童に教えてあげたいことばかりでした。

それにしても、次から次へとなんなく実験を繰り返し指導なさる講師の先生の姿を見て、教材研究のたいせつさや重要さをつくづく感じさせられました。わかりきったことでも、予備実験をやり材料や器具を点検し、それから、子供たちに実験をさせ、驚き、感動、そして、理解へと導いて行くことのたいせつさを、この理科移動講座を受講して強く感じさせられ、たいへんに勉強になりました。

 

 

 


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育委員会に帰属します。