教育福島0016号(1976年(S51)11月)-039page
二、講座のようす
田島では、まずA領域の『植物のつくりに関するいっさいの教材』をとりあげ中でも、カビや植物の葉の表皮細胞の観察や、根毛などの観察を、小学校の教材内容にあわせて、肉眼観察や、生物顕微鏡によって観察しました。
先生がたは、たいへん興味を持って積極的に、しかも探究的に観察されており、その姿に感銘いたしました。
続いてB領域の『磁石に関する教材』を取りあげ、小学校一年生から六年間を通じて指導される内容のすべてを実験や、製作をとおして研修がおこなわれました。
中でも、磁気シールドや磁気誘導などの内容には興味があったようです。
また、ここでは、一年生の磁石の内容からの製作と、コイルの製作がおこなわれ、これらの実習を終えて、先生がたから『理科は、やはり準備も特に重要なのだなあ』という声が多く聞かれました。
子供の実験・実習のための器具の準備は、ややもすると第二、第三に考えられがちですが、緻密な準備こそ、じゅうぶんな教材研究の結果であり、良き授業の基盤となるものでしょう。
田島会場では、A、Bの二領域実施しましたが、他会場では、B、C領域を実施した地区もあります。
その一部を紹介しますと、B領域の『溶液の濃さに関する教材』については、溶液のいろいろについて、その特性を調べる実験をしました。
また、C領域の『天体の運動に関する教材』については、観察、観測した資料をもとにして、月の運動、星・太陽の運動をモデルを通じて思考を深め更に、各天体相互の運動の関連性についてもモデル実験を通じ、研修を進めました。
各会場に参加した先生がたからは、A、B、Cの全領域について実施してもらいたいという積極的な要望もだされたり、来年も是非参加したいといううれしい感想も聞かされました。
三、おわりに
教師自らが、探究すること、それによって教師なりに新事実(これは、自然科学的な内容の発見という立場ばかりでなく、授業展開の中でのテクニックの発見)の発見を試みることが、子供の理科指導の中で、いかに効果があるものかを痛感するものです。
そのことの手だすけ的な意味でこの講座が意義あるものになることを希望しています。
田島小学校での移動講座風景
磁石に関するグループ実験