教育福島0017号(1976年(S51)12月)-006page

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特集 芸術・文化の振興と文化財の保護

(レニングラードバレエ団福島市公演)

(レニングラードバレエ団福島市公演)

 

参加する文化活動

 

近年、県民の文化活動への参加は増大している。県芸術祭や、約半数の市町村で行われるようになった文化祭をはじめ、各団体行事、更には国の移動芸術祭巡回公演のほか、興行団体、鑑賞団体の行う行事等、鑑賞や発表の機会も増したが、住民の参加も積極的になり、芸術や文化行事へ「参加する」ことは、もはや特殊なことではなくなってきている。

更に、近年、県民の文化志向は、単なる中央文化の鑑賞や理解にとどまらず、自ら「する」活動に向かっている。これは、芸術活動なり、文化活動をする人やする心を特殊視し、それを、見せ「られる」聴かせ「られる」状態から、見る、聴くという積極的な段階を経て、既に、自ら「創る」、「する」状態に入っているといえよう。

個人又は、団体の会員が、自ら企画し、筋書きをつくり、演出し、会員が出演するという行事が急増している。こうした活動は、時間・労力・財力を必要とすることは当然ながら、これを推進しようとする打算抜きの、心のゆとりと情熱が必要である。

文化は、個人のもつ創意や心の表現であり、放電現象である。電気は光となり熱・磁気となりいろいろの仕事をするが、人間のもつ心の粒子は、測り知れない多様生を持っており、その仕事も無限である。

ここにおいて今までのように一部の人の参加する文化活動でなく、すべての人が参加し、活動することが日常化し生活化していくことが期待されるしこうした個人や団体の結晶が地域の固有な風土に根ざした、他に類を見ない独特な文化を形成することになろう。

こうした県民の文化活動の進展は、機械文明によって等質化、画一化し、地域生を喪失せしめた社会風潮を是正し、一人一人の心に根ざした、ゆとりのある文化生活を志向しつつあることを示している。

このことは図1(文化団体数の推移)及び、図2(会員数の推移)に如実に表われている。

しかし、表1(市町村別団体、会員数)に見られるように、地域的な較差があり、それらの要因を探ることが今後の課題の一つである。

また、こうした地域文化活動の盛衰は、とくに、その地域に、適切な指導者がいるかどうかにかかわってくることが多い。

文化課が本年度初めに調査したものによると、表2(市町村別文化活動指導者数調べ)のとおり、市部では各部門にわたって、指導する人がそろっているが、町村部はそろっていない状況がみられる。このことも、地方文化振興の大きな課題であり、県民の文化志向と需要にこたえる県や市町村の文化行政の積極生が期待されている。

 

 

 


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