教育福島0017号(1976年(S51)12月)-044page
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福島の文化財
県指定天然記念物
大聖寺のアカガシ樹群
双葉郡浪江町北幾世橋北原6の1
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浪江町北幾世橋大聖寺境内のアカガシ樹群
アカガシは、ブナ科の常緑広葉樹で元来暖温帯山地において常緑広葉樹林を形成しているが、その天然分布の北限は、福島県北部から宮城県南部にかけての海岸地帯にある。
大聖寺は、請戸川左岸にあって東へ延びる第三紀層の低平な丘陵上に位置し、アカガシ樹群は寺の南部から西部へかけての斜面に密生し、ううそうと茂った樹冠が遠望される。このアカガシ樹群は、面積三千八百四十二・六平方メートルのいわゆる風致地区内に群生するもので、胸高周囲百二十五センチメートル以上のものが三十九本ある。このうち山門の西方にある胸高周囲五百八十九センチメトルのものが最も大きく、周囲五百五十二センチメートルのものがこれに次いでいる。この樹群は、単木としても例の少ない貴重な二本の巨樹を含み、一か所に多数の大木が生育している。
大聖寺境内地は、元緑年間相馬昌胤が隠居所を営んだ所の一部である。ここの二本の巨木の樹齢は恐らく四百年から五百年にも達し、相馬公の隠居所建設時こ既に存在していたものと思われる。現存のアカガシ群も、直径四十センチから百八十八センチメートルの範囲に分散し、恐らく天然更新によって維持されてきたものと思われ、現在も一メートル以下の樹高稚苗が多く見られる。
以上から、大聖寺のアカガシ樹群はアカガシの大木が群生し、しかもほぼ自然状態を保っているものであり、学術的にも価値が高い。
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