教育福島0018号(1977年(S52)01月)-005page
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巻頭言
新春雑感
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福島市教育委員会教育長 福島県社会教育委員会議議長 辺見正治
あたらしき年のはじめに思いきり
富み足らひたる夢をだに見よ
茂吉
年の瀬と名づけ、正月と名づけ、きのうの今日はめずらしくもないのに、元朝のすがすがしさは、ふしぎというほかはない。そして、長い人間の歴史の中の英知に、ゆかしさと畏敬の念を覚える。
若水の故事のしぐさは、私に年ごとの新しい夢を与えてくれる。
その夢は、かなうもあり、かなわぬもあって思うにまかせないが、ふりかえって自分自身にすまないような気がしていとおしい。自らに誠実に、かつ純粋に生きようと誓いを新たにする。
さて、新しい年に向かって、どのような夢が描けるであろうか。
教育における課題は、学校教育、社会教育を問わず、依然として山積している。
学校教育については、教育課程の改善に伴う仕事が一段と具体化していくだろう。高等学校も含めて、小中学校においては、教授内容の精選重点化が推進されることになろうが、ここでは質的なレベルを保持しながら、更に児童生徒に学習するよろこび、学びがいのある意欲を醸成していく細心にして大胆な試行が望まれる。あわせて、教職員一人一人の創意が、十全に機能する学校運営、その体制づくりに努める必要がある。そのためにも、学校経営の衝に当たるかたがたに、真の意味での指導力の発揮を期待したい。
社会教育は、学校教育と相まって車の両輪のごときものと考える。
わが国の経済的社会的変ぼうは、教育面においても多様な形の要請となってあらわれ、対応策が求められている。とりわけ人々が生がいの各時期における教育課題にこたえるための、いわゆる生がい教育の構想と施策は、息の長い仕事とはいえ、急がれなければならない。
近年、就学前幼児教育の重要性が強調されている。創造性豊かな人間形成の基礎となる知・情・意をつかさどる神経細胞の結合は、六・七歳の幼児期に決定するといわれることからもうなずけることである。家庭教育の振興・充実とあわせて、本県においても昭和五十年度から、乳幼児を持つ親を対象とした乳幼児学級が開設されたが、まだ軌道にのったとまではいえず、今後の重点課題の一つであろう。
在学青少年の社会教育、社会体育の振興策、成人教育等々、そのための施設設備の充実、学校開放の問題、指導員の増強など、課題は果てしもない。
かつてそうであったように、本年もまた、本県教育の着実な前進が期待され、夢もふくらむ。
関係当局の施策推進はいうまでもなく、教育関係者ともどもの御精進を期待してやまない。
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