教育福島0018号(1977年(S52)01月)-031page

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やさしい教育法令解説

 

児童・生徒の入学・転学・卒業等について

 

一、入学

入学とは、学校の児童・生徒としての身分を取得することである。

小・中学校への入学は、就学義務として規定されている。まず、市町村の教育委員会は、その市町村に住所を有する者で翌年度に小学校に入学すべき者について、あらかじめ学齢簿を作成し、保護者に対し、翌学年の初めから二月前までに入学期日及び入学すべき小学校又は中学校を指定し通知する。同一市町村に小学校又は中学校が二校以上ある場合は、保護者の申立てにより相当と認めるときは、市町村の教育委員会は指定した小学校又は中学校を変更することができる。保護者が子供を私立学校等その住所のある市町村の設置する小学校又は中学校以外の小学校又は中学校に入学させようとする場合には、それが他の市町村の設置する小学校又は中学校であるときは、その市町村の教育委員会の、その他のものであるときは入学を承諾する権限を有する者の承諾を証する書面を添え、その旨を住所の存する市町村教育委員会に届けなければならない。翌年度に入学すべき盲者、聾者の入学手続は以上と大体同じであるが、入学期日及び入学すべき学校の指定等を都道府県教育委員会が行う点が主な相違点である。

高等学校への入学は、入学希望校の校長の許可による。許可は中学校の校長より送付された調査書その他必要な書類、学力検査の成績等を資料として行う選抜に基づいて行われる。

高等学校に入学できる者はア、中学校もしくはこれに準ずる学校を卒業した者(盲、ろう、養護学校の中学部を指す)イ、文部大臣の定めるところにより、これと同等以上の学力があると認められた者である。(具体的には、学校教育法施行規則第六十三条一号乃至五号参照。)

二、編入学

編入学とは、外国からの帰国者や正規の学歴がない者等が第一学年の中途又は第二学年以上に入学する場合をいう。義務教育諸学校の場合は、該当者が学齢児童、生徒であれば就学義務の履行として、所定の入学に関する手続きがとられ、原則として年齢に応じ相当学年に編入される。高等学校の場合は、相当年齢に達し、前各学年の課程を修了した者と同等以上の学力があると認められた者は第二学年以上に編入学を許可される。学力の検定、編入学の許可は校長が行うことになる。

三、退学

退学とは、学校の全課程を修了しないうちに、その児童・生徒としての身分を失うことである。退学には(一)児童・生徒の自己の都合による場合(二)懲戒処分による場合(三)授業料等の滞納による場合の三つの場合がある。義務教育諸学校では(二)及び(三)の場合は現行制度上考えられない。(一)の場合としては区域外就学等の児童・生徒等が退学する場合がある。しかし、その住所の存する市町村教育委員会はすみやかに入学すべき小・中学校を指定することになるから実質的には転学であろう。

授業料は教育施設の使用料に当たるが(地方自治法第二百二十五条)、一定の期日までに納入しようとしない者に対して条例で退学に付することを規定することは可能であるとされている。

四、転学

転学とは、学校の児童・生徒が同種の他の学校の相当学年に移ることをいう。児童・生徒の転学が行われたときは、校長は当該児童生徒の指導要録(児童等の学習及び健康の状況を記録した書類の原本)の写し等を転学先の校長に送付することとされている。高等学校の場合は転学先の学校に欠員がある場合に転学先の校長が許可する。

なお、同一校の全日制課程、定時制課程相互の間で転ずることを転籍という。

五、休学

休学とは、児童・生徒が病気その他やむを得ない事由により、校長の許可を得てある期間授業を受けない状態をいう。福島県立高等学校学則では、生徒が二か月以上出席することができないときは休学を願い出ることができ、校長は一年以内の期間を限り許可することができる。

六、卒業

卒業とは、学校の全課程を終了したことをいう。校長は児童・生徒の平素の成績を評価して卒業の認定を行う。高等学校の場合には、八十五単位以上を修得した者について認定を行う。

校長は、全課程を修了したと認めた者には、卒業証書を授与しなければならない。

 

 

 


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