教育福島0021号(1977年(S52)06月)-007page

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一、指導目標を明確にして教えること

期待される指導内容と、現実に児童生徒が理解し身につけている学習内容との差がいつも問題となります。その理由はさまざまですが、一つには、指導目標が漠然としているため、教材選択や指導法が適切でないということがあげられます。指導目標はなるべく具体的に、測定しやすいようにおさえるなど、いつも明確にしておく配慮が必要です。

この場合、各教科の基礎的・基本的事項を明確にし、そこに中心を置いた教材の精選が重視されなければなりません。そして、その目標に即して、児童生徒の習得の状況と未習得の事項を明確にとらえ、その後の補完的指導をしっかり行うことが重要となります。ある時期に是非教える必要がある内容については、一人一人に的確に受容されるよう、指導にくふうをこらし、教師相互の協力によって、しっかり身につくようあらゆる努力を続けなければなりません。従来の学年経営や教科経営についての改善が要求される点です。

 

二、適切な評価による指導の改善を図ること

評価は、従来ややもすると、単に児童生徒の学習の結果のみを対象として行われ、本人を賞揚または叱責の材料とされることが多かったようです。評価は本来教育活動の向上のために行われるものですから、その結果は、教師の教え方や指導計画そのものの改善、施設・設備の充実など、児童生徒に働きかけている側としての反省材料として活用することが重要です。したがって、評価の結果によっては、その後の指導のしかたについて軌道修正を図ることも要求されます。

また、教師の一方的な評価のみでなく発達段階に応じて、児童生徒自らによる自己評価を組み入れた学習計画についても配慮したいものです。これは、与えられる学習から自ら求める学習への転換であり、生がいにわたる自己学習の基礎となるものです。そのため教師は、刺激を与え、方向づけをし、勇気づけていくことにじゅうぶんな配慮をすべきです。

 

三、共感的理解に基づく指導を続けること

学校では腹を割って話し合える友人がなく、家に帰っても心底から悩みを訴える人がいない--そんな児童生徒が増えているように思われます。こうした中で、学校には、仲のよい友人がおり、よい相談相手としての先生がいて、何でも話し合えるようにするために努めていきたいものと考えます。そのため、教師は、児童生徒のその時々の気持ちの変化をよく知り、速かに最もふさわしい援助ができるよう、常に周到な準備をしておくことが重要なこととなります。この場合、校内の共通理解に基づく協力的な指導体制が強く望まれるところです。

 

国 語

 

国語科では、本年度の努力点として

一、基礎的能力の育成

二、読むこと--とりわけ読書指導の充実

三、作文指導の充実

四、書写指導の充実

について小中学校に共通する四つの柱を立て、更に、それぞれ小学校、中学校の段階での観点を二〜三項目あげて指導の重点としている。

これらは、各学校の実態や実情により、努力点を明確にして実践していくべきものであるが、その際、指導計画の検討や毎時の授業充実の視点をより具体的にするために、授業で展開する際の留意点をあげ、考察してみたい。

昨年の「学習指導の展開」特集号では、指導の重点の一と二について詳述したので、今回は三の「作文指導の充実」について述べることとした。

 

一、作文指導の充実

作文の指導を計画的に行い、創造力を培うとともに、文章を正確に書く態度を育てるよう努力する。(小学校)

作文の指導を計画的に行い、文章表現力の向上を図る。(中学校)

 

(一) 作文指導の意義

国語科における作文の指導は、生活に必要な作文の基礎的な能力と態度を計画的・系統的に育成することを目的としている。人間形成や社会生活と深いかかわりをもつ作文の基礎的な能力と態度を、児童生徒一人一人に確実に身につけさせることに特質がある。

まず、人間形成とのかかわりでは、経験したこと、感じたこと、考えたことをまとめ、的確に文章に書き表す能力と態度を身につけさせることによって、書き手の思考の深化、思想の形成自己の確立に通ずるものであると考えられる。すなわち、作文指導による人間性育成の面である。

○ 深くち密に思考する人間。

○ ものごとを広く豊かにみる人間。

○ 美しいものや真実なものに鋭く反応する人間。

○ 表現し創造する喜びを感ずる人間。

など、これらは、作文指導上、方法的にも配慮しなければならない点である。

次に、作文指導の主たるねらいが、構想、表現などの基礎的な能力を養い文章表現力を高めることにあることはもちろんである。

この場合の基礎的な能力とは、文字

 

 

 


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