教育福島0021号(1977年(S52)06月)-008page

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どおり、それがなくては文章表現ができないもの、表現活動の基本となり、土台となる能力のことである。言い換えると、生活に必要な文章の表現活動に際して欠くことのできない基礎的な知識、技能と態度のことである。学習指導要領国語の内容、小学校では「C書くこと」の(1)、(2)及び「3内容の取り扱い」の(1)に、中学校では、「C書くこと」の(1)と(3)に集約的に精選され系統的に示されている。

これらの能力を確実に習得させるよう指導の徹底を期したい。

左の表は、片寄りなく、それぞれの活動で指導事項が重点的に指導されるよう作成した確認表の例である。

 

(二) 作文指導の方法

作文指導の方法には、

(1) 実際に作品を書かせることによって能力を伸ばす。

(2) 必要とされる作文技能をとり出し、これを練習させることによって能力を伸ばす。

(3) 作品を分析的に研究させ、推考批正させたりして能力を伸ばす。

(4) 作文に関する知識や表現類型を与えて知的な面を伸ばす。

など、さまざまな方法がとられている。

従来、作文の指導が必ずしも徹底していなかったという批判は多分にこの指導方法に問題があると考えられる。作文単元を読解指導で終わったり、書かせても、行事作文で、書く活動はあっても、作文指導が適切に行われなかったことへの反省が必要である。

特に、作文指導では、教科書教材の扱いが問題になるが、作文教材を読むときに注意すべきことは、著者がどのような観点からこの教材を取り上げたか、そのねらいを教師がはっきりとつかむことである。取材の指導に役立てるために読ませるのか、構想の指導に役立たせるために読ませるのか、あるいは鋭い観察力をつけるために読ませるのか、豊かな感受性を養うために読ませるのかなど、じゅうぶんな教材研究が必要である。

そして、作文の指導で最もたいせつなことは、実際に書かせることであるから、作文教材を読んだり、内容を知識として理解したりする、いわば書くまえの活動だけでは意味がないことを認識し、読むための教材から書くための教材へとくふうし、書く活動を中心にすえることが作文力をつける教科書の活用となる。

また、教科書教材だけでは不じゅうぶんな場合は、教材の検討や、教材作成の過程で新しく補充したり、教材化したりする必要もおこってくる。その際は地域や学校、学級の実態に合った適切な教材を補充するよう努力したい。

 

(三) 指導計画の検討

指導計画を作成するに当たって、押さえておくべきことがらは、

○ 地域や学校、作文力の実態

○ 学年の目標・内容・活動

○ 作文に充てる授業時間

○ 教科書その他の教材の選定と配列

○ 季節や地域、学校行事との関連

○ 評価・処理等の配慮

などである。

また、指導計画は、実際に授業で使いやすい具体的なもの、かたよりがないことなどが必要条件であろうが、型としては、次の三つが考えられる。

ア、教科書の作文単元を主とした計画

イ、教科書の教材全体の中で作文を指導する計画

ウ、作文の時間を特設し指導する計画

 

(四) 作文指導上の留意点

最後に指導上の留意点をあげると、

ア、書く機会を多くする。

日記・記録・手紙など、さまざまな書く機会をくふうする。

イ、目標を精選する。

その時間に習得させる目標にしぼる。

ウ、評価とその処理を計画化する。

工、文章を書いていく過程を重視する。

なにを、どのように書くかの、書く前の指導を重視する。

オ、個人差に応じた指導をくふうする。

他の領域よりも個人差の大きいことに注意し、能力に応じた指導をする。

力、教材の精選と活用をくふうする。

指導の目標や内容に合致した教材を整える。

など、教師の創意ある指導が望まれる。

 

表 指導事項と活動との関連確認表(中学校1年)

 

活動(形態)日記手紙記録報告説明感想感動その他(自由作文)など
指導事項ア 自分の考えを確かにして進んで文章を書く態度を身につけること。
イ 場面や経過などがよくわかるように具体的に書くこと。
ウ 目的に応じて,要点を明らかにし,必要な事がらを落とさずに書くこと。
エ 書こうとする事がらと考えをまとめて,主題や要旨のはっきりわかる文章を書くこと
オ 構想を立てて全体の組み立てを考え,段落に分けて文章を書くこと。
カ 文脈に即して,語句を適切に使い分けて文章を書くこと。
キ 表記のしかたに注意し,くぎり符号などを適切に使うこと。
ク 書いた文章を読み返し,表現を確かめて,文章をよりよくする態度を身につけること。

 

 

 


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