教育福島0021号(1977年(S52)06月)-044page
福島の文化財
県指定重要無形文化財
白岩の太々神楽
安達郡白沢村白岩字宮ノ下浮島神社
浮島神社の太々神楽
白岩の太々神楽(たいたいかぐら)は、安達地方の神主たちが互いに寄り合って、各社の祭礼に奉納してきたものであるが、明治維新後、神主の制度が変わってから、その習慣がなくなったので、これまで伝承が絶えるのを惜しみ、神主たちが各の社の氏子らに伝授して奉納するようになったものである。そのため、各所に各の神楽組が出来たのであるが、中でも白岩浮島神社の太々神楽は、維新時の伝承が比較的熱心な人々によって強く受け継がれてきたため、三十六座のうち、三十二座を残して現在に至っている。
この神楽は出雲流の神楽で、採物(とりもの)舞と神話を仕組んだ能から成っている。その代わり、囃子(はやし)が美しい旋律を奏する。これは関東一円(特に江戸中心)の土師(はし)流の神楽に似ているが、音楽が牧歌風で、旋律に一段の特色があり、また素(す)面の採物舞(江戸では省略されている)を残していて注目される。この太々神楽は、さらに会津、安積、田村、信夫方面にも分布しているが、ことに浮島神社のは美しく洗練されたものが崩されずに伝わっており、貴重である。
所在地 安達郡白沢村白岩字宮ノ下三〇四番地
保護団体 浮島神社太々神楽保存会