教育福島0022号(1977年(S52)07月)-038page
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福島県教育センターから
小学校理科移動講座
いわき地区・植田小学校会場より
一、はじめに
現在の理科教育においては、実験とか観察というものが非常に大きな位置を占めています。
特に、子供たちの人間形成をいかにすべきかという観点から、理科教育が問い直されてきているようすです。
そこで、いろいろな実験や観察をとおして科学的な見方・考え方を作っていくのが一番たいせつではないかと思います。それには、指導法の研究もさることながら、教材内容の周到な研究がいっそう必要となってきます。
教育センターでは、先生がたのこれらの研究の手助けのために、講座等を計画しています。
さて、そのうち小学校理科移動講座について、御紹介したいと思います。
今年は県内各教育事務所単位に十会場を予定していて、その内容は、
A領域、動物・植物の体のつくりに関する教材
B領域、電気に関する教材(一)、(二)
溶解に関する教材(一)、(二)
C領域、天体及び岩石に関する教材
などとなっています。
なお、今年から各会場で、A、B、Cの全領域について研修することにしました。
参加人数は、実験器材等の運搬などの関係から、各会場二十名で、約三日間の研修が行われています。
今年は、現在まで四会場で講座が実施されたところです。そのうち、いわき地区植田小学校会場で行われた講座のようすを紹介します。
五月十七〜十九日までの三日間、製作に精出し、興味と関心をもって熱心に実験観察に励んでいました。
まず、この会場に参加されたうちの二人の先生の感想を紹介します。
理科移動講座実験感想文
入遠野小学校 川内一海
私は、理科研究部に所属すること二十七年、このうち何度か理科センターで受講して参りました。しかし、各地で行われる移動講座の経験は初めてでした。
私自身、この講座については、多少貧弱さを感じて参加したのが本音でした。ところが講座が始まり、時間の進行とともに、聞くと見るとは大違いであることにびっくりしました。
なかでも、電気教材等は、私自身の得意なもので、指導にはいささかの自負心をいただいておりました。
また、天体等についても、夜毎観察を続けた経験から、興味関心も人一倍高いつもりでした。そのため児童への指導にも自信をもっていたのが、今回の講座でくつがえされた感じでした。
講師先生の、教材一つ一つに対する研究の底の深さ、指導技術の巧みさ、ポイントのおさえ方、いずれをとっても教えられることばかりでした。
今回のこの講座は、私にとって大きな収益であるとともに、自己反省の材料ともなり、有意義な三日間でした。
今後は予算の許す範囲で開講し、私たちに自信と勇気を持たせていただければと痛感したしだいです。
本当に微にいり細にわたる御指導ありがとうございました。
湯本第一小学校 松本寿子
受講の知らせを受けた時、わたしはうれしかった。授業を進めるに当たって、一番まごつく教科であるから、一度じっくり教材研究に取り組んで見たいとかねてから願っていたからである。
さて、本講座で一番よく分かったのは、自分は分かっているつもりでも、実は何も正確には分かっていない、という事実である。これまでの授業の中で起きたまごつきの原因は、このあたりにあったらしい。例えば、金魚の餌の食べ方一つを取っても、水を取り替えた日や金魚が興奮状態では、餌を食べないことは知らなかった。だから「さあ、では、餌をやりますからよくごらん。」と言って数日断餌させておいた金魚を用意しても観察できるはずがない。これでは、子供たちの期待もはずれ、せっかくの盛り上がりが、ぺしゃんこである。
授業中意図しない現象が起きても冷静に対処できる実力を持ち、適切な観点をおさえて指導していくために、三日間の講座は、たいへん有意義であった。特に、電気や星座の観測は、簡単な器具製作で容易にできた。北斗七星の動きを記録し、毎時ほぼ十五度になる事実を確かめられてうれしかった。
ある人の文章に、高学年で担任が女だと「はずれ!。」とささやかれるとあった。世の中はどんどん科学が進歩し指導要領の改正も間近である。たよりなさを感じさせない女教師になりたい。
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