教育福島0023号(1977年(S52)08月)-022page

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といってよい。その指導は、大変困難であろうが、早急に適応策をとることの必要性は、もちろんのことであり、中学に働きかけて、職業高校の教育内容を、出願前によく理解させ、中学での進路指導に、修正を加えるようにすることもまた、たいせつであるとのこと。

 

HRにおける進路指導の進め方

HRは、本来、欧米の教科担任制の反省から生まれたものであり、(生徒と教師との触れ合い不足)HRの性格をじゅうぶん生かした指導が、進路指導の出発点ともいえる。そして、その第一線はHRTであることは当然であろう。そこで、水戸谷先生は、次の点を強調された。HRTは、

1、人間としての生き方の指導の徹底を図る。(教師自身が一番よい見本である)

2、一人一人の生徒をたいせつにした指導をすすめる。(家庭では、たいせつな子である。学校でもたいせつな人間であるように。)

3、心に残る教育、かけがえのない教育を心がける。(生徒は、担任を選べないのだから。)

4、すぐれた計画を求めて、改善を図る。(よい計画は、よい結果を生む。)

5、保護者との連携をたいせつにする。

 

進路指導についての教師の三つの常識

水谷先生から、教師として、

1、出来ないこと。(個人の将来の姿を予見すること。)

2、やるべきこと。(発達段階に応じて最善の指導援助をすること。)

3、やってはならないこと。(生徒にかわって答えを出すこと。大人の考えで押しすすめること。)

このように見てくると、進路指導が「教育」本来の指導と重なってくる。よく、教科学習が、本業で、その他の仕事は、つけ足しのサービスという考えをもつ教師もある。しかし、進路指導の理念、基本的性格から見て、進路指導は、教師として、決して、軽く扱われるものではなく、教師本来の任務であるといっても過言ではない。

 

生徒理解の方法

観察法か、検査法かという議論があるが、いずれにも、長所短所があり、結局は、併用しなければならない場合が多い。観察法は、人間全体を、発達段階に応じて、変容の姿をもとらえることが可能だが、どうしても主観に陥りやすい。一方、検査法は、断片的で検査の実施時点の資料にしかならず、きわめて固定的であるが、客観的といえる。そのため、経験に基づく、観察法を中心にして、検査法を従にして活用していくことが望ましい。

 

心理検査利用の注意

職業研究所の渡辺三枝子先生の話であるが、心理検査は、両刃のあるナイフのようなもので、安易に扱うと危険だという。同時に、限界がある。つまり、その検査を作り出した理論的背景でしか、ものが見えないということ。その他、得点のゆがみ、偶発的要因、採点ミス等があって、その結果で、すべてを推則判断することは、大へん危険ということ。

 

「演習」での発表の紹介

1、HR用テキストによる進路指導

山形県・上ノ山高校

学校独自に、ワークブックを作製して、HRで使用している例。これは(生徒の進路意識を高めるとともに、教師の進路指導に対する経験差を解消するために、作成されたというが、なんといっても、校内の協力体制がないことには不可能なことである。

2、校内体制の確立が、困難な例

F県・M高校

学年主任・HRT・進路指導部の連携が、ふじゅうぶんで、苦労している例が出され、あらためて、協力体制のない困難さを、生徒へのしわ寄せが、痛感させられた。札幌のA高校では、対立していた進路指導派と、斡旋指導派を徐々に、改善への方向に進めた苦労話や、その方策などの発表があった。

3、新設校の体制作り

宮城県・多賀城高校

校長の熱意もあって、教師間の足並みもそろい、まとまった進路指導が、思い切った形で、実施されている。たとえば、土曜日には、教科授業は、全くやらずに、教科外活動に徹しているとか。年間30単位の、ゆとりあるカリキュラムで、志望別、能力別指導をしているなど。

4、教師及び生徒の進路に対する熱意の低調さ。

これは、演習課題の中で、一番多く提出されたもので、どの教師にも、共通した問題といえる。そこで、これに答えられた仙崎武先生(文教大)の話を列記しておく。進路意識は、

(1) 学校全体の教育活動で養われるべきであり、しかも、つねに主体を生徒におくこと。

(2) 生徒と教師との会議合作による年間指導計画を立てること。

(3) 進路委員、HR役員等のリーダー養成をしていくこと。

(4) LHRのパターンを多様化していくこと。

(5) その実施成果を、反省・評価すること。

 

中央講座をふりかえって

一週間のスケジュールは、綿密かつ

 

 

 


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