教育福島0023号(1977年(S52)08月)-023page
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豊富な内容の講義や演習であって、かなり、身体にはこたえた。しかし、久しぶりに、その道の学者や専門家による話が、十二分に聞けたこと、また、多くの悩める教師と、ともに語り、ともに考えあえたことなど、収穫の多い六日間だったといえよう。
教師は、個々の生徒が、主体的な生き方を見つけて歩めるよう、心を開いてともに、歩んで行くべきで、そのためには、人生の先輩として、また、専門職として、自己理解をするとともに自己実現に向かって、努力していかなければならないことを、改めて考えさせられた。
今後における進学指導
-特に共通一次試験に対応して-
国立大学入試が五十四年から大幅に変わり、十二月下旬全国いっせいに共通一次試験が行われることが確定した。このような試験制度の改革がなされるにあたって、県内の進路指導の先生がたがどのように考えておられるか、また、それについての対策等について聞いてみたところ次のような意見があった。
一、共通一次試験をどのように理解しているか。
○高校教育の正常化に通ずると期待しているが、反面一次試験の画一化、二次試験の選別化になるのではないかとの不安もある。
○各種民間団体の情報及び新聞等から資料を収集し検討しているが、全職員がじゅうぶんに理解するまでにはいたっていない。
○毎年十二月に実施するのは三年生の学習量から考えて、時期が早すぎる。
○「高校における学習の達成度を評価する」ということで、受験生の基礎学力が問われる試験になろう。
二、実施に際しての学校の対応
○従来の基礎学力の定着という基本方針を大きく動かすことなしに乗りきれると思う。
○進学指導の諸計画は従来どおりであるが、特に一・二学年における基礎学力の充実に留意したい。
○予習復習をいっそう徹底させ、授業も充実させて基礎学力の定着を図る。
○わが校の教育課程の特色を生かし教科書中心にやっていきたい。
○第二次試験に対応できるように、思考力、統合力を高め、論述的表現力を養うようにする。
○HRでの指導を中心に、進路相談進路適性検査を行い、「進路の手びき」、「進路だより」等の発行により、生徒に周知徹底させ、早期の進路決定を促す。
○放課後の指導、添削指導等、個別指導に重点をおき、まんべんなく基礎力を身につけさせるようにする。
○授業を充実させて基礎学力の深化に努める。
三、指導の方針樹立について
○布石はすんだので、諸情報がそろう今秋に指導の方針をたてたい。
○生徒とともに保護者の理解を深めて方針をたてようと考えている。
○各教科・学年において継続的な指導方針をたてることを検討している。
〇二次試検の対策を含めて方針をたてたい。
○今までより早期に進路選択ができるよう、生徒の自覚をうながす。
○教科書中心の学習活動を更に強化する指導体制を確立する。
○LHRでの進路に関する年間計画の手直しと、各種資料の整備を急ぎ指導方針を確立したい。等々
国立大学の受験生は、例年大体三十余万人で、定員は約八万人である。いくら入試改善といっても全入にならない限り、競争原理は外せない(大学入試センター初代所長・加藤陸奥雄氏)。ただ競争率という意味での入試地獄は解消されないまでも、その過熱ぶりを冷やしてやる必要があり、多元的な資料によって受験生の力を総合的に判定することが望ましいという考え方に立って、一次・二次試験が発想されたものと思われる。各高校ではそれをじゅうぶん理解しながらも、共通一次試験を"足切り"(予備選抜)に使うか、二次試験は一体どのように行うのか等共通一次試験をめぐって(各高校と受験生に)不安があるようであるが、大学入試の改革は長い模索を経てようやく具体化の段階に来たといえよう。
ただ大学進学のため、いたずらに、難問奇問と取り組ませる術を教えることなく、真に基礎となるものを習得させることが我々の責務であり、そのためにも入学者の選抜方式はよりよきものへと改善を図ったのであって、「共通一次試験に社会全体が冷静な支援を与えるよう、期待してやまない」と前記入試センターの加藤所長は述べている。
まだ試行テストのみで、実際の試験が行われないから、はっきりした対応は出来ないとしながらも、各高校では大学入試改善の一方策であるとの認識のもとで、今までも求められて来た基礎学力の充実・高校教育の正常化と密接に関連するものと受け取り、現在の二年生からの大学入試の指導を適性に行うよう、準備を開始したことがうかがわれる。
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