教育福島0023号(1977年(S52)08月)-038page

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福島県教育センターから

 

美術講座研修レポート

 

一、講座の目的

図画工作、美術、工芸の全領域をもうらし、講座内容を充実させ、研修の態勢を整えることが本来の目的であるが、限られた日時の中ではじゅうぶんにその目的を満たすことはできない。

したがって、領域の中でいま何が学校で要求されているのか、何が必要とされているのかを考え、講座内容を組み立てていくことがたいせつな目的条件となる。

現在、県下ではそれぞれの地域、学校などで研究会があり、また各種の講習会、研修会も数多く催されているが会場、準備、用具、日数などの関係から、比較的容易に取り組める平面的な絵画、版画、デザインが主であり、彫塑、工作、工芸は少ないようである。また実際に学校でも、施設設備、用具などの関係から、学習指導上困難なことが多いという声が聞かれる。

そこで、どのようにすれば立体的、構造的な内容の指導に容易に取り組むことができるか、またどうすれば効率的な指導を進めることができるかなどについて、実際に教師自身の制作体験をとおしてとらえてもらうことに重点をおいて、講座内容を組み立てている。

 

二、講座の内容

昭和五十年、五十一年度の研修講座内容を小中高校の順に整理し紹介する。

(1) 小学校図画工作講座

〈図画工作の問題点と指導〉

「指導計画にみられる問題点と改善」について、年間指導計画と実践上のつまずきをいかに解決していくか、広域カリキュラムを自校化していく手だてはどのようにすればよいかを考え、教材内容を精選したり、指導の重点化を図ることが当面の課題として追求されねばならないことがあげられた。

学習指導要領に示されているのが「指導内容」であり、指導内容を具体化したものが「教材」である。教材の精選と指導の重点化の改善のためには、指導目標を明確にして重みづけをすることがたいせつである。目標を明確にすることはそのまま評価につながり、評価を可能にするには目標がそれだけ明確化されねばならないからである。

評価には、フイードバック機能があるはずであり、当然、題材の整理、統合、進め方などに調整があり、各題材において、重点的に取り扱う基本的事項も明確にされねばならない。そこで具体例としてデザインの題材が取りあげられ、どのような方策があるのかを提示した。

演習として「児童画の見方について」実際の児童作品(絵画)による見方を行い、創造的な絵画とはどのようなものであるか、非創造的な絵画とはどのようなことがあげられるかについて、低学年と高学年に分けて分析しながら具体例をあげて検討した。

 

図画工作講座「壁飾りの製作」

 

図画工作講座「壁飾りの製作」

 

また、教科書で取りあげられているクロッキーについて、児童の表現力がどのように発展するか、一年生から六年生までの教科書にあげられている作品例を示し、クロッキーの進め方について、表現活動の過程、技能習熟の過程から検討し、あわせて教師自身の鑑賞眼を高めるためにはどのようなポイントをおさえればよいか、実際に即した評価をとりあげた。

〈彫塑(石こうじかづけ)〉

「彫塑について」の講義を行い、彫塑の意義、歴史的な発達の過程から、彫塑をどのようなものとしてとらえるかについて考察し、小学校での彫塑の学習は、粘土に慣れること、彫塑は粘土遊びからはじまり、量としての見方つかみ方、立体感覚の表現を養うことであるとして、指導法の実習を石こうじかづけにより行い、特に制作のポイントとなるべき所を重点的に取りあげた。石こう取り扱いの経験者が約一〇パーセントということから、制作の方法、手順についても指導の留意点を明示し、制作を進めた。石こうじかづけは、材料経験としても役立つものであった。

〈木材による工作(壁飾りの製作)〉

木材による工作は第一に、児童の生活経験と心情に根ざす、児童の想像力を豊かに育て上げていくうえで配慮が

 

 

 


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