教育福島0027号(1977年(S52)12月)-005page

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巻頭言

 

教育委員会事務局の強化

 

教育委員会事務局の強化

 

福島県町村教育長協議会会長 鈴木正一

 

市町村の教育委員会が法律及び政令等に基づき 管理し執行する事務はきわめて広く、また責任も重いものである。特に最近顕著にあらわれてきたことは体育に関すること、文化財に関すること及び社会教育に関することである。

青少年の健全育成、明るい健康な町づくり、あるいは余暇の利用、住民の親善と建康増進などを目標として、各階層それぞれ計画をたてて各種のスポーツ行事が開催され、参加者も年々増加の一途をたどっている。

市町村では、これら住民の期待にこたえるため、各種の体育施設の拡充整備と指導者の確保に追われているのが実情である。

先人の残した文化遺産を整理保護して後世に伝えることは、極めて重要なことであり、場合によっては急を要する問題もあるが、これらについても各町村努力され、中には立派な町村史を編さんされたり、史跡等の保存、遺跡の発掘調査など困難な条件を克服しながら、着々その実をあげておられることは敬服に堪えないところである。

一方生がい教育の立場から社会教育の在り方が見なおされ、今までと違った幅の広い、しかも魅力あるものへと脱皮を試みているところである。県社会教育委員会議より、県教育長に本年九月建議された“本県における在学青少年に対する社会教育のあり方について”を見ると、各町村において分担実施しなければならない施策が掲げられているが、現時点では容易でない問題もある。しかし手をこまねいて居られない重要課題であると思われる。

さてこうした社会情勢の中にあって教育委員会の内部組織はどうであろうか。久しきにわたって各町村教育委員会の事務局組織の強化が叫ばれ、県教育委員会もまた年々重点施策として努力されてきたところであるが、まことに遅々たる歩みである。教育長会の折には全県的な資料などを基礎として、努力事項の最上位に取り上げて、関係機関に対し陳情し要望してきたところであるが、思うにまかせないのが実情である。特に町村の自治体としては、昭和四十八年度以降、健全財政の確立から、職員の新規採用を極力おさえ、事務の効率的運用等により、地域住民に対する要望にこたえようと努力しているところであり、教育委員会の強い要望にもかかわらず、その実現を見ないのが現況である。しかも教育委員会の所管する内容は単なる事務ではなく指導的役割を果たせる学識もあり研究意欲にもえた者、あるいは専門的な知識と技術をもったものでなければならないところに、また問題がある。

教育委員会に籍を置き、経験も豊かとなり、今後大いに期待される人材が町の部局に転勤され、大きな打撃をうけている町村もなしとしないのである。教育委員会は仕事が遅いなどとの苦情を耳にするが、仕事が多すぎて、懸命に努力しているのだが追いつけないのが本音である。

 

 

 


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