教育福島0027号(1977年(S52)12月)-006page

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特集

 

特集

 

芸術文化の振興と文化財の保護

 

地域文化づくり

 

わが国の文化とか、わが町の文化とよくいわれるが、こうした文化(芸術・生活文化・国民娯楽・大衆芸能・文化財・年中行事・祭礼・道徳・風俗習慣・伝統など)について語るとき、おおよそ、それが他とくらべ、優れているとか特性があるとかが強調される。

これらは、先人や、今、生活している人たちが、より良く、より楽しく生きるために、その地域風土にふさわしいものをみんなで支えてきたもので、地域の一人一人の創意とくふうによりつくられ、伝承されてきたものである。

したがって、文化は本来特色があり個性、地域性、民族性、国民性が表出されるものである。

ところが、近年、情報化社会の進展に伴い、個人、家庭、地域社会は、多量の一方的文化情報の奔流に埋没し、等質化されつつあるように思われる。

こうした状況から、いま、特色ある地域文化の伝統や創造について、考え見直すことは必要であり、今後、どんな文化をつくり、何を子孫に伝えるかを、改めて考えねばならない。

近年、著しく県民の文化への関心が高まっているが、これは、単に、物質的充足から精神的充足への転換という個人的現象の意義のみでなく、二十一世紀への文化の伝承と創造という点においても、社会的意義のある現象といえよう。

こうしたことから、県と県教育委員会は、連携して「文化を考える県民会議」を開き、来年二月ころまでに県民各界代表から、本県文化の長期展望や当面する課題など、その振興に関し、多くの提言がなされることになっている。これに対する県民の関心は高く、県政のなかでの文化への取り組みに、多くの期待が寄せられている。

一方、県内には、現在、約千五百の文化団体と、約七方四千人の会員が活動している。これらの団体や会員は、本県文化振興の推進役である。団体、会員数は、この十年間で約三倍にふえその活動も活発化し、多彩となっている。また、これに伴い、市町村での文化祭や発表会、あるいは鑑賞行事も多くなっており、しかも、地域住民の手により、地域に根ざした内容のものを中心として、地域の文化団体や関係者が、協力して、優れた行事をつくり上げている例が多くなっている。

国土庁委託調査“地方都市を支えるもの”(昭和五十年)によれば、「地方都市の古い文化は観光により存続し、新しい文化は鑑賞により移入され、創出の文化が余り見られない」と、現象的にとらえているが、むしろ地方都市は大都市文化を取り入れながら、消化吸収して、独自の伝統を基礎に、新しい文化を創出しようと胎動しているといえる。それは、県芸術祭の主催行事や参加行事に見られるし、各団体や地域には、近年、なにかしら、自分たちのものを

 

 

 


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