教育福島0027号(1977年(S52)12月)-038page

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福島県教育センターから

 

(研修レポート)

 

特別活動講座

 

一、はじめに

 

特別活動については、学識者も専門家も少ないといわれている。

それというのも、児童生徒の、人格の調和のとれた発達を図ることを目指して進められた教育課程の拡充に伴い、教育課程の一領域として新しく設けられた領域であるからに外ならない。

しかしながら、わたしたち教師は、教育課程の拡充に対応して、教育課程そのものへの理解を深めるとともに、それを支えている教育理念と、教育課程の各領域における望ましい指導のあり方について、一貫性のある確かなものとしてそれぞれが身につけ、よりよい指導を目指して努力する必要がある。

以上のような現状をふまえて、昭和五十一年度より開設された「特別活動講座」との概要について、本講座への理解と協力が寄せられることを期待しながら、講座報告として述べることにしたい。

 

二、特別活動の課題にこたえて

 

「特別活動」が、各教科・道徳と並ぶ教育課程の一領域として、一応の安定をみたのは、現行の学習指導要領が施行されてからである。

顧みると、「自由研究」(昭和二十二年学習指導要領)にはじまり現在に至るまでの三十年余にわたった、児童生徒の人格の調和のとれた発達を図るために、欠くことができないとされる児童生徒の基本的な欲求に根ざした教・科以外の諸活動の重視と、その中の主たる諸活動の「教育課程化」の努力の結果、「特別活動」が教育課程の一領域として、位置づけられることになったものである。

しかしながら、特別活動の指導の現状についてつきつめてみると、「教育課程化」のための積極的な努力とはうらはらに、依然として消極的な実践の奥にひそむ、畿つかの根本的な問題を指摘することができる。

その主なものをあげてみると、

○教育課程や授業のとらえ方が、教科中心という過去のとらえ方から抜けきれず、その傾向が特別活動の実践意欲を阻害し、望ましい指導を目ざす実践の累積を妨げていること。

○特別活動として整理統合された、教科以外の諸活動の教育課程化の歴史が浅いため、未開拓な面が多く、実践を進めるうえで困難点が多いこと。

○教育理念的な水準での指導理論が多く、特別活動の指導の実践を通したうえでの指導理論が、安定した形で一人一人の教師に浸透していないこと。

などをあげることができる。

そこで、このような現状の改善を目指して、真の意味で児童生徒の人格の調和のとれた発達を図るという、特別活動の目標を達成するために、教育課程の一領域として設定された、特別活動の教育的な意義をふまえて、その担っている役割を効果的に果たすことができるようにとの意図のもとに、昭和五十一年度から「特別活動講座」を開設した。

昭和五十一年度には、小学校、中学校各一講座、(-全講座人員三十名)を実施したが、小学校においては、その特質からいって、各教科の研修講座においても、特別活動についての研修内容を盛り込むべきであるという要請に従い、本年度は、小学校の各教科研修講座に、特別活動についての研修内容を位置づけ、「特別活動の指導の本質」と題して三時間の時間配当で計画し実施している。

一方、本年度の中学校向けの特別活動講座は、研修成果の普及伝達ということから、より効率的な研修をめざし各学校の特別活動主任クラスを対象として、 一講座人員三十名で二講座を計画し実施している。

以上のようなことから、「特別活動の基礎理論、効果的な指導法等についての研修を深め、その識見と指導力を一高めること」をねらいとして、次のような研修内容で運営している。

(1) 小学校各教科講座における特別活動の研修内容

「特別活動の指導の本質」(講義)

1) 教育課程と特別活動

2) 特別活動の指導の基本的なあり方

3) 特別活動の内容の取り扱いと諸関連

4) 学校における集団の理解と集団活動の指導

(2) 中学校特別活動講座の研修内容

1) 特別活動の意義と内容

(三時間配当・講義)

2) 特別活動の指導の本質

 

 

 


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