教育福島0029号(1978年(S53)02月)-020page
なり得るようにする。このため、工芸的な素材を含めた幅の広い素材の中から、各学校の実態に応じたものを取り上げるようにする。
(五) 作品制作における生徒の進度差に注意し、制作意欲にひずみを生じさせないような授業の展開に心がける。
(六) 生徒の作品の取り扱いには、常に教師の暖かな思いやりがたいせつであり、単に作品の出来栄えの質にのみ目を向けることなく、制作の過程における生徒の制作態度などをじゅうぶんに考慮するようにする。
(七) 制作された生徒作品を教室等に展示し、各人による表現方法の特徴をじゅうぶんにとらえさせ、なお次時学習の参考に役立てられるように配慮する。
二、鑑賞の学習を通して、作品を見る目を養うのにはどうしたらよいか、その方法についての研究を進める。
(一) 鑑賞教材を身近なものに求め、地域文化財及び民具・民芸品に目を向けさせ、地域文化に対する認識と、その保護.保存のあり方についての関心を持たせる。
(二) 学校に近い地域に在住する作家の作品などを紹介するとともに、教師自身の作品なども提示し、作品制作の過程などの豊富な話題から、作品とその人間とのかかわりを理解させる。
(三) 授業時間内に往復できる会場での美術展作品の鑑賞については、できるだけその機会を設けるようにし、事後の指導も含めて、作品鑑賞に対する意欲的な態度を養う。
(四) 美術作品に関する図書及びスライドなどによる鑑賞の場合は、画一的な鑑賞のあり方を改善し、鑑賞の視点を明確にするとともに、それに応じた教材の配列を考え、生徒が系統的に作品をとらえられるようにする。
(五) 鑑賞教材に対する固定化した説明や、教師の主観的、一方的な見方を生徒に押しつけることを避け、生徒が作品から受けた感動を素直に表すことができるようにする。
三、作品制作や鑑賞の能力を、さらに高めるための指導法についての研究を進める。
(一) 作品制作にじゅうぶんな能力を持つ生徒に対しては、表現内容の特性に応じて、その能力をいっそう深めるための教材及び素材を精選する。
(二) 生徒の個性をたいせつにするとともに、その良さが単に自己満足の域にとどまることなく、表現内容をさらに追求することの厳しさについて深く認識させる。
家庭
技術・家庭
小学校
家庭科においては実践的.体験的な学習を通して家庭生活に必要な知識や技能を習得させるとともに人間生活の基盤である家庭生活のあり方、営み方を学び家族の一員としてよりよい家庭生活をしようとする実践的態度を育成するところに真のねらいがある。また、人間の生活のしかたを学ぶこの教科は、児童の人格形成に果たす役割も大きいと言える。このような教科の性格をふまえ、次の諸点に留意して指導する必要がある。
一、新学習指導要領と移行措置についての研究を深め、新しい学習指導要領の趣旨を生かして指導できるよう、指導計画を改善する。
(一) 現行学習指導要領と新学習指導要領を比較研究し、新学習指導要領の改訂の趣旨、教科の性格、目標及び内容の整理統合された点等の研究を深め、児童や学校.地域の実態との関連を図り、各領域の目標及び内容を明確かつ具体的には握する。
(二) 移行措置について理解を深め、使用教科書及び各領域の目標との関連を研究し、各領域の内容及び題材の配列.指導時数等を適切なものとする。
(三) 新しい領域である「住居と家族」についての研究を深め他領域との関連並びに児童や地域の実態に即した指導内容(題材)及び指導時数等について実践的に研究する。
(四) 各領域.題材と消費者教育の関連を図り、物をたいせつにする心構えや物資を有効に活用する態度を育成するよう配慮する。
二、実践的な態度を育成するための指導法についてくふうする。
(一) 実践的・体験的な学習を行う教科としての性格をふまえ、児童が主体的に学習に取り組めるよう指導法を改善する。
(1) 児童の思考の傾向や思考活動の実態を尊重して主体的な学習ができるよう指導過程を組織する。
(2) 手入れ.製作・調理等の学習において、実験・実習を主体とした体験的な学習活動を効果的にさせるため指導法について、具体的な題材に即して研究する。
(二) 学習の評価が適切に行われるようにする。