教育福島0029号(1978年(S53)02月)-025page

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週三時間を基本として編さんされていること、現行版より分量が減少していること、この二点から時間的に余裕のある学級においては、課ごとに練習、応用、発展を主とした学習活動や言語活動を計画する等の配慮が望まれる。

(二) 一単位時間の指導計画の改善を図る。

○教材の取り扱い上における軽重を明確にするとともに、弾力的な指導過程をくふうし、いきいきとした授業を展開する。

○「新出事項導入→音読→訳」の指導過程は、合理的に見えても、無味乾燥になりやすく、学習意欲の喚起につながらないことを銘記したい。

 

二、表現力育成のため、言語活動の実証的研究を深める。

 

(一) 言語活動を通じて、意志伝達の技能を身につけさせるために、その準備として、基礎的、基本的な事項をじゅうぶんに定着させる必要がある。

(二) 聴取理解の訓練方法をさらにくふうする。学期二・三回の聴取訓練ではなく、日常学習活動の中に位置づけることによって、生徒自身にも聴取力の向上がわかるようにさせたい。

(三) 英語学習に対する生徒の興味を絶えず喚起する手だてを考える。

○新学習指導要領は、言語活動を達成するための弾力的な取り扱いを強調しているが、移行期間においてもその精神を生かして指導にあたる。

(四) 指導法に関して、教師は自分のやり方に絶えず検討を加える。

○効果的な指導のためには、文字にのみ頼ることなく、音声教材、絵による教材を教育機器の活用を通して積極的に取り入れたい。その際、教師相互の協力により、授業実践上のヒント等を交換することが望ましい。

 

三、四技能が生徒に成立しているかどうかを知るため、たしかめと評価を適切に行う。

 

(一) 英語学習においては、単に記憶力の測定ばかりを行うのでなく、話された英語を理解する能力や、学習意欲など情緒的な面を主とする態度を含めた、総合的な評価を行うようにめる。

(二) 新学習指導要領の趣旨をじゅうぶんにくみとって基礎を教えることに徹し、生徒の学習への動機づけをするような評価を考え、四つの技能について調和のとれた適切な方法をくふうする。

(三) 生徒の個性・能力に応じた言語活動の中で、基礎的、基本的な事項が身につくように、学習過程での評価の方法について実践的な研究をすすめる。

(四) 評価問題の作成に研究を加える。

○安易に市販テストを利用することなく、また指導内容と評価が遊離しないよう留意する。

○まとまった内容の英文を読んで概要や要点をつかませることは、言語活動の重要な部分であるから、これを積極的に取り入れる。

○評価結果は、問題の難易度を知り、指導事項の定着率を判断して指導法の反省をし、次の指導の参考とすべくじゅうぶんに活用する。

 

高等学校

 

英語教育の目的は、学習指導要領に示されていることのほかに、地域の実態・生徒の個性と進路によって、それぞれ実際的な目的が生ずる。教師はそれを踏まえ、自分の担任する生徒の共通の目的にかなった指導をすべきであり、更に一人一人の生徒の能力に応じた指導も考えねばならない。

 

一、生徒の学力について

 

(一) 本県の高校入学者選抜学力検査の結果からみて、生徒の英語の学力差は極めて大きいことにかんがみ、教科書は更にじゅうぶんな検討を加えて採択することが望まれる。普通科ゆえに一様に英語Bの教科書を使うのは、生徒にとっても、教師にとっても、労多くして定着度の低い感がある。

(二) 国民教育といわれる現在の高校教育においては、生徒の学力差にいかに対処するかが課題であり、特に英語教育では、遅れている生徒に対する適切な指導法の開発が急務であろう。

 

二、言語活動と精選について

 

(一) 英語学習は「言語活動」と「言語材料」という二本の柱から成り立っている。精選を必要とするのは言語材料であるが、英語を理解したり、表現したりする言語活動の基礎を養うことをいっそう重視し、学習内容に明確な順序づけをし、また構造化を図り、特に表現力の育成を考えて精選を図るべきであろう。

(二) 英語を聞いたり、話したり、読んだり、書いたりすることができるようにさせるためには、その精選された言語材料を用い、実際に耳や回や手を使って、ゆさぶる言語活動を行わせることが必要であり、音声と文字の両面において言語を総合的に理解したり使ったりする活動こそ「言語活動」と称せられるものであろう。

(三) 四技能を調和をとりながら指導し特に話したり書いたりする表現力の指導にいっそうの努力を注ぎたいものである。もちろん、話したり書いたりする表現力の伸長には、他の二つの技能の育成が不可欠であるが、従来は読むことのみにやや比重をかけたという反省に立ち、世の動きに合わせるためにも、はたまた生徒の欲求に対応するためにも、話す書く

 

 

 


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