教育福島0029号(1978年(S53)02月)-026page
を重視していきたい。
三、指導法について
(一) 生徒が高校卒業後社会人となったり、大学に進んでも専門的に英語を研究しなくなると、学習した英語を完全に忘れるのは、英語教育に内的動機づけがないことが最大の理由であると言われる。また、社会の変化に応じられないでいることも現在の英語教育の一つの欠点であるとの指摘もある。高校に入って来る生徒の意識を度外視しては英語教育は効果がうすい。生徒は英語で自己を表現したいという意欲を持っていることがいくつかの調査で明らかになっているのであるから、その実現を可能にするような授業を実践するなかから、内的動機づけを図るべきであろう。
(二) 高等学校の英語教育は、中学校英語の定着を図ることがその根底をなしているのであるから、正しい口頭練習を反復して、基礎がじゅうぶん身につくよう指導する。読んで訳すのみの指導と、教科書を一応最後まで消化することのみを考えた指導を払拭したいものである。
(三) 以前はじゅうぶん効果的であったいわゆる「講義式いっせい指導」は現在では通用しない場合が多い。いたずらにこれを続けるならば、指導は教師の独演に終始し、ただから回りして教師も指導意欲を失えば、生徒も学習意欲を失うことになろう。
(四) 教材の基本事項を明らかにし、その指導事項によってかける時間の長短を考えた指導案を作成するよう努めたい。
道徳教育
小学校・中学校
道徳の指導は、今年度から、小・中学校とも、現行学習指導要領の規定にかかわらず、全学年で、その全部又は一部について新学習指導要領の規定によることができることとなった。
したがって、移行期間中の指導計画の作成に当たっては、現行学習指導要領による指導計画の内容を新学習指導要領の趣旨に沿って検討する。
道徳教育は、学校におけるすべての教育活動を通して行うことを基本としており、教科及び特別活動との相互関連的な指導によって進めるようにし、特に道徳的な実践の指導を徹底するようにする。
道徳の時間の指導では、学校や地域そして、児童生徒の実態に応じた重点的な指導をさらに進める必要がある。
一、道徳教育の全体計画を検討し、学校のすべての教育活動を通じて行う道徳教育を充実する。
(一) 道徳教育の全体計画を学校の教育目標実現の観点から検討するとともに、それぞれの教育活動が道徳教育の目標を達成する上でどのような役割を分担するかを明確にし、学校全体が組織的に一貫性をもって指導できるよう共通理解を深める。
(二) 道徳教育を進めるに当たっては、教師と児童生徒及び児童生徒相互の人間関係を深めるとともに、家庭や地域社会との連携を図りながら、日常生活の基本的行動様式をはじめとする、道徳的実践の指導を徹底するよう配慮する。
二、ねらいを明確にし、実態に即した重点的な指導ができるよう指導計画を改善する。
(一) 道徳の時間の指導計画の改善に当たっては、新学習指導要領の内容から検討する。(詳細は「移行措置資料」県教育委員会編を参照のこと)また、学校の全教育活動を通して行う道徳教育との関連で、特に必要とされる内容については、重点的に取つ上げるとか、いくつかの内容を関連づけて指導するなどして、それぞれの学校の実態に即応したものとする。
(二) 児童生徒の実態と発達に即し、発展的な指導ができるよう指導内容の系統をじゅうぶん検討し、学年を追って指導が深められるようにする。
(三) 児童生徒の日常生活における意識や問題事例、指導後の実態などを見つめながら、指導計画を改善したり効果的な指導を行うようにする。
三、主題のねらいを達成するために、適切な指導過程を組織し、授業を充実する。
(一) ねらいとする道徳的価値を明確にし、児童生徒、資料、教師の活動の関連を緊密にする指導過程を構成する。
(二) ねらい達成にふさわしい資料を多方面から収集し、適切な資料を選択して、教師の特性や学級の実態に即した指導をする。
(三) 各学年に応じた指導過程や学習形態をくふうし、心の触れ合う学習活動が展開できるよう努める。
(四) 心情や感動を盛り上げる発問をくふうし、児童生徒のものの見方、考え方、感じ方を深めるようにする。
(五) 一人一人の発言を大事にしながら話し合い学習を進めるようにする。
また、話し合いをすることそれ自体に、道徳性を身につける上で大きな効果のあることに着目し望ましい態度の