教育福島0029号(1978年(S53)02月)-032page

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し、へき地、過疎地域の児童生徒には共通の特性があり、また、学級編制にあっても少人数学級か複式学級で構成されている場合が多い。そこで、これらの特質をよくは握し、その特質を生かした指導が重要な課題となる。特に次の事項に重点を置き、指導の質的向上を図る必要がある。

 

一、少人数学級の特質を生かした指導法の改善に努める。

 

(一) 主体的に学び取る力を育てるための指導過程をくふうする。

(1) 学習の中心課題をは握させ、意欲的で自主的な課題解決に当たらせるよう配慮する。

(2) 自己評価の機会を設け、自己の能力開発に立ち向かわせる。

(二) 一人一人を生かし、よりよい人間関係を育成するための学習形態のくふうをする。

(1) 学習の内容に応じ、個別、小集団、学級集団、学校集団等の適用を図る。

(2) 積極性や社会性を育てるために集団活動の機能を活用し、自信をもって行動できるよう努める。

(三) 学習の効率を高める資料の適切な提示や、活用のあり方をくふうする。

(四) 校内の協力体制を確立し、教科や特別活動等の指導方法をくふうする。

 

二、複式学級学習指導計画の改善を図り、授業の充実に努める。

 

(一) 複式学級学習指導計画の整備充実を図る。

(1) 複式学級学習指導計画例(県教育委員会編)を参考にして、相互に研究を深め自校の指導計画を充実する。

(2) 単式学級と複式学級を合わせ持つ学校及び極少人数学級を持つ学校における指導計画の整備充実を図る。

(二) 複式用教科書(算数・理科・家庭)を積極的に活用し、同単元異程度指導による、学習効果のあがるようくふうする。

(三) 自学自習の学習を意図した指導過程をくふうする。

(1) 直接指導では主体的な学習を成立させるための指導を重視する。

(2) 間接指導の学習が主体的になされ、間接指導が単なる練習にならないよう指導にくふうを加える。

(3) 間接指導における学習資料の活用に積極的なくふうをする。

(四) 複式学級における学級の特質を押さえ、実践的活動を進めるとともに表現力を高めるため、読解力、作文力、発表力の育成を学校、学級経営全体で配慮する。

 

三、視聴覚教材教具を積極的に活用し、児童生徒の学習経験の拡充を図る。

 

(一) 学習に興味と意欲をもたせるために、学習資料の作成・収集を図り指導過程に位置づけ、学習経験の拡充を図るよう活用する。

(二) 個別学習のための教育機器の活用を図る。

(三) 教育機器が手軽に活用できるよう校内研修の機会を設ける。

(四) 児童生徒の作品を他校と交換したり、研究資料等の交流を図り、視野を広めるように努める。

(五) 児童生徒の自主的活動によって校内のスペースを利用して掲示物等の展示をくふうする。

(六) 資料や教育機器の保管、管理体制を整え、資料等の累積及び活用を積極的に進める。

 

養護教育

 

養護教育の拡充に伴い、対象児童生徒の障害や程度が多様化し、就学指導や教育課程の編成、学校、学級経営等がいっそう困難になりつつある。

未開拓で統一的見解の得られない分野の多いこの教育にあっては、とかくたてまえ論が先行しがちである。

しかし、学校においては、障害児一人一人の充実した生活をどう保障するかという現実を忘れてはならない。

この教育を進めるに当たっては、健常児と共通であるという一般性を基礎とし、更に、障害児であるという特殊性に即応して行わなければならない。

したがって、前述の小・中・高等学校における各教科、領域等の重点をじゅうぶん吟味し、次にあげる重点事項と調和させ、この教育の充実、振興に努力することが望まれる。

 

一、適正な就学指導を推進する。

 

(一) 各学校における心身障害児の就学指導組織を、校務分掌上の組識として明確に位置づけ、全校職員が協力して適正な就学指導を進める。

(二) 市町村の就学指導審議会、県就学指導会議、その他の関係機関と有機的関連を図り、適正な就学指導を進める。

(三) 全教員の心身障害児に関する知識や調査、検査、診断の技術向上を図るため、校内研修を充実する。

(四) 心身障害児童生徒の就学指導に関しては、保護者とじゅうぶんに情報交換しながら、障害児の適切な教育措置を発見する態度で話し合い、保護者の納得を得るよう努める。

(五) 学校、学級への就学後も、つねにその教育効果を観察、評価し、他の学校、学級への就学が望ましいと判断される場合には、適切かつ慎重な教育措置替えを考慮する。

 

 

 


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