教育福島0032号(1978年(S53)07月)-041page

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やさしい教育法令解説

就学義務について

 

はじめに

 

「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。」、「すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負う。義務教育は、これを無償とする。」と憲法第二十六条は規定しており、この理念は、明五十四年度から養護学校における就学義務及び都道府県の養護学校設置義務が施行されることにより、よりいっそう具体化されるものと考えられます。そこで今回は、就学義務について説明をいたします。

 

一、就学義務について

 

(1) 就学義務者

保護者は、子女の満六歳に達した日の翌日以後における最初の学年の初めから、満十二歳に達した日の属する学年の終りまで、これを小学校又は盲学校、聾学校もしくは養護学校の小学部に、小学校(小学部)の課程を終了した日の翌日以後における最初の学年の初めから、満十五歳に達した日の属する学年の終わりまで、これを中学校又は盲学校、聾学校もしくは養護学校の中学部に就学させる義務を負っています(学校法第二十二条、三十九条参照。)ここで保護者とは、子女に対して親権を行う者(父母、養親等民法第八一八、八一九条参照。)親権を行う者のないとき、例えば父母ともに死亡したときには後見人をいいます。

なお、児童福祉施設の長(精神薄弱児、盲、聾児施設等の長)は、入所中の児童で親権を行う者又は後見人のない者に対し親権を行うことになっています。

(2) 就学義務の内容

子女に、九年の普通教育を受けさせることです。その始期は、「子女の満六歳に達した日の翌日以後における最初の学年の初めから」ですが、例えば昭和五十三年四月一日生まれの者は、同五十九年三月三十一日に満六歳に達しますから、この者は翌四月一日から入学することになります。(年齢計算ニ関スル法律、民法第一四三条参照)

(3) 就学義務の履行手続

このことについては、次に図解しておきます。(図1・図2参照)

(4) 就学義務の督促等

小学校、中学校、盲学校及び聾学校の校長は、在学する学齢児童生徒が休業日を除いて、引き続き七日間出席しないときその他出席状況が良好でない場合には、市町村の教育委員会へ通知をしなければなりません。この場合当該教育委員会は、その保護者に対し、児童生徒の出席を督促しなければなりません。督促を受けても履行しない者は四千円以上八千円以下の罰金に処せられます。

 

図1 就業事務手続き(小・中)

図2 就業事務手続き(盲・ろう)

 

図2 就業事務手続き(盲・ろう)

二、就学義務の猶予、免除

 

二、就学義務の猶予、免除

 

市町村教育委員会は、病弱、発育不完全その他やむを得ない事由のため就学困難と認められる者の保護者に対しては、当該保護者の願い出(医師その他の証明書等を添付)により、就学義務を猶予又は免除することができます。「その他やむを得ない事由」としては、1)児童生徒の失踪2)教護院に入院した場合3)外国から帰国した学齢児童生徒で、日本語を修得させるため、一定期間の就学義務の猶予申請があった場合等があげられます。しかし、経済的理由によるものは含まれません。この場合には、市町村は必要な援助を与えなければならないからです。

 

 

 


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