教育福島0032号(1978年(S53)07月)-040page

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移動図書館

「あづま号」の利用

 

はじめに

 

移動図書館あづま号による巡回奉仕も幾多の変遷を経ながら、現在の十一コースによる全県下巡回奉仕となっているが、その利用実態についてお知らせをし、利用される関係者への参考に供します。

 

一、利用冊数と内容

 

移動図書館の貸し出し方法には、個人貸し出しと団体貸し出しの二つの方法があるが、県立図書館の場合、広い県下全域を対象としているので団体貸し出しをとっている。従って貸し出し冊数が利用冊教ということになる。下表によりこの五か年の利用の推移を見ると、四十八年〜五十二年で約二倍の八万五千五百八十冊とのびてきている。利用団体は四十八年に比し約二十ほどじか多くなっていないが、冊数の著しいのびは、一つには図書購入費の増加にともなって魅力ある新刊書が年々多くなってきたこと、二つには、町村の公民館等が読書施設の役割を認識して、積極的に読書普及活動を図っていること等が考えられる。また資料内容の面から見られることは、児童図書の利用が年々多くなってきていることである。これは児童が直接借りるのではないが、親たちが子供の読書に寄せる関心がいかに大きいかを示すものであり、児童の読書が全国的に叫ばれている今日、当然のことであり、特に農村部では学校図書館施設にも不じゅうぶんな点が多く、児童図書の貸し出しは、公民館図書室においても進めるべきである。それによって家庭内の読書環境を整える上でも重要な働きをなし、やがて成人の利用の拡大につながる道ともいえる。成人の利用としては、やはり文学(小説)が多く、その大半は主婦であり、児童図書の利用とあいまってのびてきている実情である。以下実用書(住まい、庭造り、家事等)、一般教養書(人生訓、子供の教育に関するもの、時事的なもの)、娯楽書等となっている。

このような実情から、図書の選定に当たっても、1)表現が平易で読みやすいもの2)専門的なものはなるべくさける3)解説的、入門的なものを選ぶ4)比較的専門的なものは図版入りを選ぶ5)ベスト・セラーズは比較的価値の長続きしそうなものを選ぶ等の配慮をしている。

 

二、利用団体

 

大別して地域の団体、職域の団体、公民館図書室、学校の四群となるが、地域の団体としては主婦が最も多く百五十五団体、以下文庫十一、児童会五となっている。青年の団体が姿を消していることは時代の流れなのかも知れない。職域の団体は、会社、工場、農協、郵便局、国鉄の駅、役場等五十八となって男性の読書は職域の場を通して行われていることがうかがわれる。公民館図書室は九十九で大半の町村公民館が自館の図書と併用して地域の読書普及に利用している。学校は比較的山間の小学校二十四、中学校七で教師がその運用にあたっている。

 

三、移動図書館と公民館との連けい

 

利用実態の概略をのべてみたが、県立図書館の移動図書館運営は、文化施設に乏しい地域に対して、図書の利用組織の育成を中心に、読書の普及をはかるとともに、各地域の社会教育の振興に協力するという図書館側の働きかけと、これを受ける利用者側に立つ地域の社会教育関係者が、社会教育推進の上での読書導入の必要性を認識し、読書活動を町村段階で、教育委員会関係者及び住民に自分たちの問題として受けとめ、自主的、積極的に展開して行くという協力態勢がうまくかみ合うことによってその効果も期待されるものと考えられる。

近年各公民館において具体的読書普及活動を計画し、それに基づく貸し出しが多くなってきていることは県立図書館としてもうれしいことであり、利用冊数の増加にのみ目を向けることなく、社会教育活動の推進に協力するという趣旨にそって運営して参りたいので、町村における協力態勢を切に希望するものである。

 

表 貸し出し冊数と利用団体

年度貸し出し冊数利用団体駐車場1日平均取り扱い冊数
4843,895317182620
4961,264353205765
5069,042360211874
5172,621347211943
5285,5803612071,080

 

 

 


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