教育福島0032号(1978年(S53)07月)-044page
福島の文化財
重要有形民俗文化財
大桃の舞台
所在地 南会津郡伊南村大学大桃字居平
伊南村の歌舞伎芝居の舞台
大桃の舞台とよばれるこの歌舞伎芝居の舞台は、伊南村大字大桃の駒嶽神社境内の左手にある。明治二十八年七月九日、以前から歌舞伎芝居をおこなっていた地方の人々の強い要望によって建てられた。
木立かこまれた山ふところに兜造り茅葺の舞台が建っている。間口七・六六八メートル、奥行八・五五九メートル、床の高さー・〇六〇メートル、保存も良好である。
回り舞台や、語り手、三味線の座る太夫座はないが、二重(舞台におかれた台で家・山・堤などに用い、そこで芝居をする。)が二段に設けられており、合わせて三段の固定舞台からなっている。花道は舞台下手に仮設する構造で基部にはけやきを使っている。花道の材料の渡り板戸なども保存されている。
この舞台での歌舞伎は昭和三十年ころまで演じていた。はじめは地元の人々による習芝居であったが、のちには他からの役者による買芝居になった。
ここには舞台新築人名記・舞台新築人名板・「大歌舞伎」と題する連名の板記などが残っている。
大桃の舞台は、歌舞伎舞台として全国的にもめずらしいもので貴重な遺構といえよう。
(見学は自由ですが文化財の愛護にご協力下さい)