教育福島0033号(1978年(S53)08月)-013page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

調査・検査は、そのものが情報・資料となることがあり、情報をもとに調査・検査を実施し、その結果を分折して活用することもある。これらの資料は明確に分類できないこともあるが、次のようにしている。

調査−生徒の進路希望・家庭環境

検査−知能・学力・身体検査

情報−事業所案内・各高校入学案内

資料−指導要録・生活の記録・生活 進路の指導記録・授業の教材

2) 資料の収集のしかた

資料は、広い視野にたって収集し、新鮮なもの、公正なもの、生活の興味や関心を高め、その必要感にこたえられるものであるようにする。そのために保護者や先輩の協力を得て、できるだけ広範囲な面から収集する。

進路指導の年間計画や、生徒の発達段階に基づいて意図的に準備し、生徒自身がさまざまな資料を集める過程に意義があることを配慮し、積極的に活動させる必要がある。

 

五、今後の課題と考察

 

「個人理解を深め進路指導を充実する」を研究主題として、学級指導における進路の学習を軸に研究した。はたして自己を正しく理解し、日常の学習をたいせつにすることを知り、卒業時の進路決定には、自己の将来に見通しをたてることができるように指導したか。同時に進路の学習への関心を高めることができるようになったろうか。これらの点について反省してみたい。

(一)、研究して成果があげられたこと

1) 教育活動の計画など、全般にわたって整理統合され、進路指導の方向づけができ、計画的に実施できた。

2) 資料の収集の必要性や役割、整理のしかたが重要であることを理解した。

3) 個人指導のための記録が累積され、生徒との進路相談の資料に役立てた。

4) 学級指導における進路指導のねらいと指導内容の精選に努めた結果、授業の内容も充実し、いろいろな実践を通しての展開が確認された。

5) 生徒が進んで情報・資料を求め自己の進路に関心をもち、自己実現に向かって前進しようとするようになった。

(二)、今後の課題としてあげられること

1) 進路指導の年間計画、進路指導の授業展開案を再検討し改善を加える。

2) 社会の職業構成上の変化、職業観の変遷、職業観についていっそうの研修を深め、教師の共通理解をもち、進路指導の指針を定めることがたいせつである。

3) 情報交換について改善を図るとともに、生徒にとって、更に身近かで新鮮な情報・資料の収集と管理について検討する。

4) 進路指導の授業において積極的な教育機器の活用を図り、授業の効率を高めでいくようにする。

5) 進路相談のしかた、面談の技術のくふうをする。

6) 調査・検査の実施方法・集計のしかたについて研究し、活用を図る。

7) 保護者の進路指導に対する正しい理解と、子供の将来に対する見通しについて話し合いを深める必要がある。

個人理解を深めることが、いかにたいせつなことであるか、全職員が自覚して今後も継続し、改善し、究明し、進路指導の充実を深めるようにしていきたい。

 

昭和五十三年三月

高校卒業者の進路状況

 

一、概況

 

全日制卒業者総数二万三千八百一人は、前年度より二百五人の増加となっている。その進路概況をみると、

○大学進学については、進学実数、進学率ともに前年度より更に低下し、昭和四十九年度をピークにして過熱気味だった進学熱もようやく冷却期に入ったかにみえる。

○就職者数は、前年度より三百五十五人増加し、就職率も引き続き上昇傾向をたどっている。

○就職者の県内留保率は、昭和五十年以来上昇を続け、二年連続して男女ともに五十%の大台をはるかに超えるに至った。

○各種学校等への進学は、再び上昇のきざしをみせたが年度により上下し、不安定である。

 

二、進学状況について

 

(一) 大学進学(表1・2参照)()は昨年度全日制の課程卒業者二万三千八百一人(二万三千五百九十六人)の二五・三%(二五・九%)に当たる五千九百九十五人(六千百二十一人)が短期大学を含めて大学に進学した。

男女別にみた卒業者総数に対する大学進学者の割合、すなわち進学率は、男子二四・一%(二四・八%)女子二六・四%(二七・三%)で両者とも昨年に比べて、それぞれ〇・七%、〇・八%の減となった。

また、男子と女子の進学率の差は二・三%(二・四%)で昨年同様女子が男子をおさえている。

大学進学者を学科別に見ると、理数科及び普通科における進学率が高いのは例年どおりであるが、普通科が昨年より一・一%ダウンしたのに対し理数科は一二・三%も上昇した。農・水科、工業科、商業科も昨年を下回っている。

(二) 各種学校進学

一昨年大幅に伸びたが、昨年鈍化の徴候を示した各種学校への進学率が、今年度また上昇して昨年比三%のアップである。

 

 

 


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育委員会に帰属します。