教育福島0033号(1978年(S53)08月)-012page
どのような方向に進んだらよいかを考えさせることとした。
2) 学級指導で進路指導の授業はどのようにすべきかを研究し、授業案の形式をきめ、計画的な進路指導の展開案が必要であることに着目した。
3) 「進路指導の授業展開案」を作成しこれによる授業を進め、学級の実態と授業で活用する資料について研究した。
4) 更に、授業での個別指導について重視することを考えた。
学年ごとの研究会を開催して、生徒個人の観察により、個人理解を深めるように努めた。生徒の能力、適性を固定的に考えず、全教育課程のなかで、あらゆる角度から観察・指導を加えることがたいせつであることを確認した。
5) 観察生徒については、授業後の指導を適切にすることがたいせつであること。展開案は学級の実態にあわせて変えていくことの必要性を理解した。
6) 観察生徒については、更に具体的な項目をあげて個々の生徒がもつ特色について観察することにした。
7) 学級指導でのいっせい指導から、進路相談にどのように発展させ、更にいっせい指導で個人のかえすようにしてやるにはどのようにするかを研究した。
8) 個人理解を深めるための「生活の記録」を活用した授業を展開し、個々の生活によりよい改善が加えられるようなくふうをした。
9) 作文を資料とした授業、話し合いを中心とした授業、生活体験の発表をもとにした授業の実践を通して、学級指導での資料の扱い方についてさらにくふうし、研究することがたいせつであることを確認した。
(二)、進路相談と観察・指導
1) 進路相談と観察・指導のねらい
一年○自分の長所や短所を理解させ、長所を伸ばすように努力させる。
○自分の将来の進路について計画がたてられるようにさせる。
二年○自己の目標実現のため、努力すべき点は何であるかを考えさせる。
○自分の進路計画の吟味や検討ができるようにさせる。
三年○自己の将来の進路について説明できるようにさせる。
○卒業後の生活に進んで適応していこうとする意欲をもつようにさせる。
2) 進路相談の基本的な考え方
相談は、個々の生徒を直接目的として、生徒の自己実現に必要な自主性の発達を目指す指導・援助の活動である。それで進路指導でも、集団場面における指導だけではなく、直接個々の生徒を対象とする指導・援助が必要である。
3) 進路相談の進めかた
生徒個人の姿として家庭の状況や健康状況、人格性などを考慮しないで進路相談はできない。進路相談をしている間に経済条件、将来への希望、過去の失敗や成功、自分の身体の状況、将来への不安などの個人的事情が話し合いにでるからである。進路相談を行う場合に考慮すべき事項として基本的なものを次のようにしてきた。
○日常の教育活動をたいせつにし、教師と生徒の人間的な触れ合いを前提とした関係を育てる。
○温かい態度で生徒を迎え、生徒の自己指導を尊重する。
○生徒の発言を傾聴し、生徒の自己と進路についての見方に注目する。
○適切な時期に進路情報、個人資料、テストの結果などを伝え、整理、統合させる。
○面接の方法に習熟し、適切な方法でまとめ、個人票に記録し活用する。
4) 観察・指導の実施
この観察・指導は生徒理解のために最も基本的な方法であり、広い意味では、生徒理解はすべて行動観察によってなされると言える。生徒の優れた価値や可能性を発見し伸長し、それらを将来の進路と関連づけて吟味させ、生きがいのある社会的自己実現が果たされるよう指導・援助することが必要である。また生徒のもつ潜在的課題の解決援助にとどまらず、同時に将来の課題解決へと志向するものである。継続的な観察を通して生徒の能力・適性等をは握することは極めて重要である。
学級指導に基づく個別指導を援助深化するものとして「生活・進路の指導記録」の活用があげられる。
また、「生活の記録」を毎日継続して生徒に記録させ、学級の時間に指導している。これらは知的面からのは握にとどまらず。生徒の能力・適性についてすべての領域や場を通じて多面的な観察・指導ができて、生徒の優れた価値や可能性を見出し、その育成をするために重要な役割を果たしている。教師による観察・指導だけでなく。友人や親からの観察・援助も得られるように配慮し活用を図っている。
(三)、進路指導の調査・検査・情報・資料
進路の学習には、生徒一人一人が自分自身についてより深く理解して、自分について正しい判断と評価を持つことは、自主的な進路選択の上で重要である。また、生徒の個々の理解や実態のは握にも指導計画をたてたり、進路相談を実施するときにも、調査・検査・情報・資料が必要となる。これらの中で有効適切なものをしぼって実施し、収集し、結果の処理と考察をじゅうぶんにして、その活用を図るべきである。生徒が自己の主観や記憶にたより、観念的、抽象的な自己理解や進路情報の理解に走らないようにすることがたいせつである。具体性、現実性を与える啓発的経験としての調査・検査・情報・資料の意義を考察して、収集・整理・保管・提供に努めなければならない。
1) 資料の分類のしかた