教育福島0034号(1978年(S53)09月)-041page
やさしい教育法令解説
校長・教員の資格
一はじめに
公立学校の校長・教頭は教育公務員であるとともに地方公務員の身分を有すると定められています。(教特法二・三条)従って校長・教員はまず地方公務員としての資格要件を満たしていることが必要です。
また学教法・学教則及び免許法にも校長・教員の資格について規定されています。
これらの法令に定められている資格要件を充足していなければ校長・教員になることはできません。
二地方公務員としての資格要件
地方公務員は次の事由の一に該当する者は、職員となることはできないこととされています。(地公法一六条)
(一) 禁治産者及び準禁治産者
(二) 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終るまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者
(三) 当該地方公共団体において懲戒免職の処分を受け、当該処分の日から二年を経過しない者
(四) 日本国憲法施行の日以後において日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し又はこれに加入した者
以上はいわゆる欠格条項と呼ばれるもので、職員が採用後これらの条項に該当することとなったときは、その職を失うこととなります。(地公法二八条)
三校長教員の資格要件
(一)校長・教員の欠格事由
学校法九条は地公法一六条の欠格条項に該当するものですが、(一)と(四)は同一ですが(二)は「禁錮以上の刑に処せられた者」となっており、刑の執行期間中だけでなく刑の消滅が成立するまでの間は教員となることはできないこととされています。
更に(三)に「免許状取り上げの処分を受け、二年を経過しない者」は教員になることができないこととされ地公法のそれよりもきびしいものとなっています。
これは教育を通して国民全体に奉仕する教育公務員の職務と責任の特殊性に基づくものと思われます。
(二)教員の免許資格
学校法一条に定める小、中、高、盲聾、養護学校の教員(校長・教頭を除く)は各相当の免許状所有者でなければなりません。
また、盲・聾、養護学校の教員については、これらの学校の教員免許状のほかに、これらの学校の各部に相当する教員の免許状を有する者でなければならないと定められています。(免許法三条)
なお、免許法五条では、学校法に定められた欠格条項に該当する者のほか十八歳未満の者及び高校を卒業しない者には免許状を授与しないこととされています。
(三) 校長・教頭の任用資格
校長の資格に関する事項は、別に法律で定めるもののほか、監督庁(文部大臣)が定めることとされ(学教法八条)別に法律で定めるものには国・公立の大学の学長・専修学校の校長等がこれに該当します。
国・公立学校の高校以下の校長の任用資格については免許法による一級普通免許状を有し、かつ五年以上「教育に関する職」にあったことを必要とするとされ、一号から九号まで具体的にその内容があげられています。(学教則八条)それによると、学教法一条に定める学校の校長・教頭・教諭等のほか少年院等において教育を担当する者の職にあった者等も含まれるとし、「教育に関する職」の範囲はきわめて広いものとなっています。
私立学校の校長の任用資格も原則的には国・公立学校と同じですが、これにより難い場合として別規定が定められています。
教頭の資格についてはほぼ校長と同様の定めがなされていますが、免許法による各相当学校の一級普通免許状を必要とします。(学教則一〇条)しかし、当分の間は各相当学校の二級普通免許状でもよいこととされています。
校長についても当分の間二級普通免許状でもよいとの同様の定めがあります。(学教則附則二)
注1
(一)刑の執行を終るまでの者とは刑または刑の執行の減刑を受けたとき、その減軽された刑の執行を終るまでの者及び仮出獄を許された者で出獄後その刑期を終了するまでの者等。
(二)刑の執行がなくなるまでの者とは、刑の執行を猶予されているもので、その猶予の言い渡しを取り消されることなく猶予期間を経過し、刑の言い渡しが効力を失うまでの者及び刑の時効により刑の執行を免除されるまでの者等
注2
「刑の消滅」とは、刑の執行を終り又は免除をえてのち、罰金以上の刑を受けることなく、一〇年を経過したとき。