教育福島0034号(1978年(S53)09月)-044page

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福島の文化財

県指定史跡

石造阿弥陀三尊来迎供養塔

所在地 岩瀬郡岩瀬村大字畑田

 

岩瀬郡岩瀬村長命寺内に十数基の供養塔があり、その中に石造阿弥陀三尊来迎供養塔がある。この供養塔は熔結凝灰岩で舟形状につくられている。

石塔の高さは百七十四センチメートル、幅は下部で九十三・五センチメートル、上部になるにしたがってせばめられている。正面は頭部を龍状にし、周縁を画して内面をほりくぼめ、そこに三尊を浮き彫りにしている。

中央上部に来迎印(上品下生印)の阿弥陀如来が蓮華座上に立ち、下方に観音、勢至の両菩薩がやや向き合うように侍す。観音は膝をやや前方に屈し両手で蓮台を捧げ持っており、勢至は合掌の姿をとっている。

周縁の右側に「弘長二年大才壬戌四月日敬白」と宋朝風の筆で陰刻されているが、この種の石造来迎像としてはかなり古い。国指定史跡の下鳥渡供養石塔(福島市)よりわずか四年後(一二六二年)の彫造で初期の例に属するものとして貴重である。

岩瀬郡は二階堂氏本貫の地であり、下鳥渡も須賀川二階堂氏の支配を受けたところである。両地に同様の供養塔があることは阿弥陀来迎思想の流布、信仰のありかたなどからみても興味深い。

(所有者 畑田部落)

 

 

 

 

 


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