教育福島0036号(1978年(S53)11月)-014page

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三、医療給付の基礎知識

 

(一) 療養の給付(現物給付)

組合員が、公務外の病気やケガで、組合員証を保険医療機関に提示し、次のような療養を受けた場合、療養の給付を受けることができる。

(1) 診療

(2) 薬剤又は治療材料の支給

(3) 処置、手術その他の治療

(4) 病院又は診療所への収容

(5) 看護

(6) 移送

この場合、初診時の一部負担金六百円及び入院の場合の一日につき二百円(三十日限度)は組合員の負担になる。

この療養の給付は、金銭をもって支給するものではなく、治療そのものを給付し、薬剤を支給し、入院をさせる等傷病の治療を目的とした一連の療養の行為そのものを給付することであっていわゆる現物給付である。現物給付とされているのは、(ア)組合員が直接費用の負担をしなくともよいこと、(イ)療養費の前払いは他の目的に費消するおそれがあること、(ウ)療養費の後払いは完全な療養を受けることができないこと、(エ)不正受給を防止できること、(オ)給付内容の一定水準を確保できること、などの理由となっている。

また、この療養の給付は組合員の公務によらない病気又は負傷について行うこととしているが、これは公務上の傷病については、使用者がその補償の義務を負い、その補償が行われるので、組合から給付の必要がないからである。

※看護及び移送については、現物給付は行っていないので、一応組合員が自費で費用を支払い、その後療養費として給付の支払いを受けることとしている。ただしこれは、必要以上の給付をさけるため、組合が事前に必要と認め承認した場合に限り、給付することとなっている。

(二) 療養費(現金給付)

病気やケガをしたときは、病院に行き療養の給付を受けることが建前となっているが、緊急その他やむを得ない事情で、保険医以外の医者にかかった場合や、組合員が住んでいる地域に保険医がいない場合などで、組合員証を使用しなかったときは、共済組合がその必要を認めた場合に限り、一定の基準により算定して、療養費の支給が行われる。

また、医師の指示あるいは同意により、看護、移送、輸血、コルセット等の治療用装具、はり、きゅう、マッサージ等に要した費用や、外国へ出張中に受けた治療費等も、その必要が認められれば、療養費として現金給付がなされる。

療養費の支給額は、療養に要する費用のうち、一部負担金を除いた額の範囲内で支給されるが、看護料、移送料、輸血に要する費用、コルセットの費用、柔道整復師の施術料の療養費の額の算定基準は次のようになっている。

イ、看護料

症状が重篤状態や、常時監視を要するときなどで看護婦の付き添いが必要なときは、一定の看護料が給付されるが、原則として、申請書に医師の同意書をそえて、事前の承認が必要である。

なお、看護を担当する人は、看護婦、准看護婦または家政婦会等から派遣された看護補助者とし、親族や友人が付き添う場合は看護料は受けられない。

ロ、移送料

病人を、医師の指示により転地療養や帰郷療養させる場合、また、重態で病院まで歩けずに乗物を使うときは、移送料が支給される。

ただし、事前の承認が必要である。従って、通常の診療治療のための通院に要する交通費は、移送料の支給対象とならない。

移送の費用は、患者の直接的な移送費(汽車、電車、自動車、船等の運賃)のほか看護人の付き添いを必要とした場合は、看護人の運賃、手当、宿泊料も移送料の支給の対象となる。

また、移送したときは、領収書、看護人を要したときは医師の証明書等が必要である。

ハ、輪血

緊急のとき、友人、知人などから輸血を受けた場合で、代金を支払ったときは、その費用を請求すれば、療養費として支給される。

ニ、治療用装具

医師が治療上必要なために、関接用装具、コルセット、サポーター等の治療用装具の装着を必要と認めた場合は、その装具の購入代金が療養費として支給される。

なお、療養費の支給対象となるものは、治療上必要な範囲のものに限られ、日常生活上あるいは仕事上で不便のためとか、外観を整えるために装具を装着するもの、例えば、眼鏡、補聴器、松葉づえ等は、支給の対象にならない。

ホ、柔道整復師、あん摩、マッサージ師、はり師、きゅう師の施術、柔道整復師に組合員証を提出して骨折、脱きゅう、打撲またはねんざの施術を受けることができる。

この場合、一部負担金は組合員の負担となる。

治療上の必要からあらかじめ医師の同意を得て、あん摩、マッサージ師、はり師、きゅう師等から施

術を受けた場合は、その施術に要した費用は、共済組合が必要と認めた範囲内で療養費が支給される。

ヘ、外国で療養を受けた場合

組合員が外国に出張し、外国で診療を受けて、その費用を医療機関に支払ったときは、療養費の給付がある。

 

 

 


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