教育福島0037号(1978年(S53)12月)-021page
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野出島)
昨年、掘調査を実施し、竪穴住居跡、掘立柱建物跡等が検出されている。本年はその地続きの調査で昨年同様の遺構群を検出した。その内容は、竪穴住居跡十軒、掘立柱建物跡三棟、井戸跡二基等であり、特に掘立柱建物は三間×三間で廂(ひさし)を有している。出土遺物では円面硯(えんめんけん)破片、曲物、漆塗椀等の本器類が注目される。
(2)笊内(ざるうち)古墳群(東村大字上野出島)
国営総合農地開発事業に伴う調査で、横穴墓五十三基、高塚古墳四基、小型箱式石棺一基、土坑一基を検出した。横穴墓は、構造的にバラエティに富みそれが時期差を示すものか注目される。また、遺物では、三十七号墓から鉄地金銅張の馬具が出土している。高塚は、前方後円墳一基、円墳二基、方墳一基から成り、横穴墓と共存し、古墳時代後期の築造と考えられる。
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笊内古墳群 遠景(東村)
(3)達中久保(たっちゅうくぼ)遺跡(石川郡石川町大字赤羽)
国営総合農地開発事業に伴う調査で、約八千平方米の表土剥離を行い、竪穴住居跡八十軒、掘立柱建物跡五棟等を検出したが、一部は工法変更により、保存することになり精査をせず埋戻しをした。精査を実施した竪穴住居跡は出土土器等の年代からほぼ奈良時代後期から平安時代前期に比定され、中心は平安時代前期におかれる。本調査により、集落構造の解明に一知見を加えた。
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達中久保遺跡竪穴住居跡(石川町)
(三)市町村教育委員会の主な発掘調査
(1)加倉(かくら)古墳群(双葉郡浪江町大字加倉)
室原川の河岸段丘上に立地する六基の円墳のうち、宅地造成により三基を発掘調査した。三基とも埋葬施設が明瞭に検出され、出土遺物とともに、古墳築造の時期を推定させる。一基はくり抜き木棺で掘方(ほりかた)も検出され、鉄斧、直刀、管玉が出土した。他の二基は礫槨(れきかく)状の施設で県内に類例がない特異なもので、伝播ルートなど問題を有し、その解明が学界でも注目される。
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加倉古墳群 内部主体(浪江町)
(2)五番(ごばん)遺跡(双葉郡双葉町大字郡山)
重要遺跡確認調査で二年次の調査である。今回の発掘調査で、掘立柱建物跡五棟以上、竪穴住居十軒以上確認された。本遺跡は、従来、寺院跡と考えられていたが、「郡山」という地名、古瓦、土師器、須恵器等の出土品、更に、これまでに確認された遺構から「標葉郡衙跡」の可能性が高まり、今後の発掘調査が期待される。
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