教育福島0039号(1979年(S54)02月)-013page
中学校
数学の基礎的な知識、技能を身につけさせ、それらを的確かつ能率的に活用し、「数学的な考え方」の育成が図られるよう、次の点について努力する。
なお、新学習指導要領の趣旨の理解をさらに深めるとともに、移行措置が円滑になされるよう、指導計画の作成及び学習指導には特に留意する。
一、数学の指導体系や各領域の関連を考慮し、生徒の実態に即した指導計画に改善する。
(一) 個々の生徒の現有学力の実態を、的確には握し、生徒が学習しやすい適切な計画に改善する。
(二) 数学の指導体系や各領域のねらい、内容を的確には握し、内容の取り扱いの程度、軽重、相互関連を考慮して、時間的にゆとりのある計画に改善する。
(三) 数量や図形に関する基礎的な概念や原理・法則の理解と技能の習熟に重点をおいて、計画を改善する。
二、個々の内容のねらいや取り扱いの程度を明確にとらえ、指導内容の統合及び重点化を図り、教材を精選して、指導の効果をあげる。
(一) 数学科の目標、学年の目標、単元等の目標を明確におさえ、指導内容を重点化するとともに、指導内容がどう発展していくものなのかを的確には握し、それに合わせて教材を配列する。
(二) 数・式、図形の指導については、重要な基礎となる領域としてとらえ、体系的に取り扱い、指導の徹底を図るようにする。
(三) 関数、確率・統計の指導については、具体的な事がらを通して、見方、考え方が漸次育成されるようにする。
(四) 集合・論理に関する内容については、他の領域の内容を表現したり、考察したり、思考を進めたりする際に多く用いられるものであるとの理解に立ち、他の領域の内容と関連して、必要に応じて適切に取り扱うようにする。
三、基礎的な知識の習得や技能の習熟と「数学的な考え方」の育成との調和を図る。
(一) 基礎的な知識の習得や技能の習熟に当たっては、過程をたいせつにしながら、繰り返し指導し、定着を図るようにする。
特に、計算、作図、実測、分類整理などの活動を重視する。
(二) 既有の経験や知識、技能を新しく学習しようとするものに適用、発展させることができるよう、関連的な取り扱いに努める。
(三) 数学的な推論では、特に演えき的な推論の方法の理解とその活用に重点をおいて指導し、論理的に考える態度を身につけさせるようにする。
四、学習指導の改善を図り、学習意欲を高めるとともに、学習をいっそう効果的にする。
(一) 個人思考と集団思考の関係を配慮し、生徒みずからが問題解決の喜びを味わうことができるような学習指導をくふうする。
(二) 生徒の学力の段階に応じた学習目標を設定したり、生徒自身が学習の成果を正しく評価し、積極的に取り組むことができるような学習指導をくふうする。
(三) 学習形態等をくふうし、個に即した適切な指導助言がなされるようにする。
(四) 教科書の使用法をくふうし、予習復習等にも積極的な活用がなされるようにする。
(五) 学習資料の提示のしかたや教育機器の活用法などをくふうし、数学に対する興味、関心を高めて、指導の効果をあげる。
高等学校
小・中・高を通じた一貫した数学教育の実現を目指し、基礎的な知識、技能の習得を図り、数学的な考え方や処理のしかたをより育成するために、次の事項に留意する必要がある。
一、生徒の実態に即した指導体系と指導計画を作り上げる。
(一) 生徒の学習の過程を重視し、学習したことが他の場面に転移できるよう、抽象化や一般化の能力の教育を考慮した指導計画を作成する。
(二) 各学年にわたって繰り返し発展的に指導を積み重ね、学習効果をあげてゆく教材と、まとめて集中的に指導して学習効果をあげる教材の、指導上の区分を明らかにして、指導体系の効果的構成を図るようにする。
二、実態に即した科目、教科書等の選択に配慮する。
(一) 生徒の能力・適性・進路に見合った科目を履修させ、ゆとりのある効果的な学習をさせるようにする。
(二) 適切な教科書を採択し、指導内容の重点化、教材の精選を図るなど、その使用法をじゅうぶん研究する。
三、学習指導の改善を図り、学習意欲を高めるとともに、学習がいっそう効果的に行われるようにする。