教育福島0039号(1979年(S54)02月)-026page
いっそうの研究と検討を加える。安易に市販テストを利用することなく、評価の内容が生徒の実態や指導内容から遊離しないよう配慮する。
(四) 生徒一人一人の言語に対する興味・関心・意欲などについて的確に資料を収集し、共感的理解に立った評価が行われるようにくふうする。
(五) 評価の結果は、指導事項の定着の度合いをたしかめるばかりでなく、指導の反省や指導方法の改善にじゅうぶんに活用する。
高等学校
外国語の指導は、学習指導要領に示されている目的の他に、地域の実態・生徒の適性・進路等を考慮することによって生ずる目的に沿ってなされなければならない。そして厳密にいうならば一人一人の生徒の能力に応じて指導するのが望ましいが、それは理想であって実施不可能であるとの声を聞く。
しかし可能な限りその理想に向って努力したいものである。
一、生徒の学力に応じて。
(一) 本県の高校入試の結果からみて、生徒に使用させる教科書の採択に当たっては更にじゅうぶんな検討を加えたいものである。教師にとって指導するに労多く、生徒をして意欲をなくさせて益少しの教科書が使われてはいないであろうか。
(二) 国民的教育機関といわれる現在の高等学校に学ぶ生徒の学力差にいかに対処するかが教師の重大な課題であり、特にスローラーナーに興味・関心を喚起し、成就感を味わわせる指導法の開発が急務であると同時に、ある程度以上の生徒を伸ばす方策も更に考えられて然るべきであろう。
二、言語活動と精選について。
(一) 英語学習は、「言動活動」と、「言語材料」という二つの柱から成り立っている。精選をすることができるのは言語材料であるが、言語活動の基礎を養うことをいっそう重視し、学習内容を明確に順序づけし、また構造化を図り、特に表現力の育成を考えて精選を図るべきであろう。
(二) 英語を聞いたり話したり、また読み書きが出来るようにするためには、その精選された言語材料を用い、実際には視覚・聴覚・運動神経までをフルに動員させて、ゆさぶる言語活動を行わせることが必要であり、音声と文字の両面において言語を総合的に理解し、使ったりさせてこそ、言語活動が活発に行われたということができよう。
(三) 調和をとりながら四技能を指導しなければならないことはもちろんであるが、特に聞く、話すの指導にいっそう比重をかけたいものである。聞く、話す力の伸長には、他の二つの技能の育成が不可欠であるが、従来、読む書くを重視して来たという反省に立ち、社会の動き、生徒の欲求に対応するためにも、聞く、話すを重視していきたい。
三、指導法について。
(一) 生徒が高校卒業後社会人となったり、大学等に進学しても、英語に関係がない学部に属したりすると、英語学習を放棄したり、過去に学んだものを完全に忘却するのは、それまでの英語学習に内的動機づけがなされなかった故であろう。生徒は英語で自己を表現したいという意欲を持っていることがいくつかの調査で明らかになっているし、大部分の生徒の欲求がどこにあるかをつかみ、可能な限りそれを踏まえた指導を実践することによって内的動機づけを図るべきであろう。
(二) 高等学校の英語教育は、中学校英語の定着の上に成り立つことにかんがみ、生徒が高校の英語教育をうけるレディネスがあるかどうかを確め、いきなり高校の教科書に入るのを避けた方がよいと判断された場合は、中学校教科書の復習に時間を割くのも時には必要であることはいうまでもない。
(三) 以前はじゅうぶん効果的であった「講義式いっせい授業」は、高校への進学率が九十%を越えた現在では通用しない場合もあろう。いたずらにこれを続けて生徒の学習意欲をそいでいる授業を時折見うける。
(四) リコグニッションだけにとどめることと、プロダクション段階まで扱うものという具合に指導事項を分け、かける時間の長短を考えた指導案を作成するようにしたい。
(五) 英語を教えるに際しては、英語を聞き、話し、読む、書くそれぞれの能力を養うことが指導の目標であるが、学校教育の一環として、人間形成をめざすこともたいせつである。即ち、英語学習を通して、国際理解の基礎等を得させることも重要で、指導計画の作成に際しては、英語教育のもつ技能的な面と、教養的な面の両方に関して具体的な目標を明確に設定したい。
道徳教育
小・中学校
道徳教育は、小・中学校とも新学習指導要領の趣旨に沿って、学校教育の