教育福島0039号(1979年(S54)02月)-027page
全教育活動を通して行うことをいっそう重視し、教科及び特別活動との相互関連的な指導によって進めるために、学校経営の中に道徳教育を明確に位置づけ、指導の充実を図るようにする。
特に、全教育活動を通して、道徳的実践の指導を徹底することを重視する。
また、道徳の時間の指導では、各教科、特別活動等との関連を保ちながら、学校、家庭、地域社会、児童生徒の実態に応じて重点的な指導を進め、道徳的実践力の育成を図るようにする。
一、道徳教育の全体計画を整備し、学校の全教育活動を通じて行う道徳教育を充実する。
(一) 道徳教育の全体計画を学校教育目標実現の観点から、全職員で検討し、各教科、特別活動等の教育活動が、道徳教育の目標達成の上で分担する役割を明確にし、学校全体が組織的に一貫した指導が進められるよう、共通理解を深めるようにする。
(二) 道徳教育を進めるに当たっては、全体計画に基づき、児童生徒の実態をふまえ、学校、家庭、地域社会の密接な連携を図り、日常の基本的行動様式をはじめとする道徳的実践の指導を徹底するよう配慮する。
(三) 全体計画の改善に当たっては、改善の観点を明確にし、道徳教育の充実・徹底を期するため、指導計画との関連を検討し、相互の機能を確実に生かして活用できるようにする。
二、ねらいを明確にし、実態に即した重点的な指導ができるよう指導計画を整備する。
(一) 道徳の時間の指導計画の整備に当たっては、新学習指導要領の趣旨、内容をじゅうぶん検討する。
(二) 全体計画とのかかわりにおいて、道徳の時間に指導すべき重点事項を各学校の実態に応じて明らかにした計画とする。
(三) 児童生徒の実態と発達に即し、発展的な指導ができるよう指導内容や道徳的価値の系統、関連を検討し、学年を追って、指導が深められるようにする。
(四) 指導計画の改善に当たっては、改善の観点を明確にし、問題点を整理・集約し、児童生徒の意識、問題事例等実態をは握して、全職員の共通理解のもとに改善を行う。
(五) 年間指導計画の不用意な変更や修正を避け、じゅうぶん活用するように努める。なお、変更に当たっては、年間指導計画の弾力性についてじゅうぶん検討を加えて行うようにする。
三、主題のねらいを達成するために、適切な指導過程を組織し、授業を充実する。
(一) ねらいとする道徳的価値を明確にし、児童生徒、資料、教師の活動の関連を密にする指導過程を構成する。
(二) ねらい達成にふさわしい資料を多方面から収集し、適切な資料を選択して、教師の特性や学級の実態に即した的確な使用法をくふうする。
(三) 各学年に応じた多様な指導過程や学習形態をくふうし、心が触れ合い、深まりのある学習活動が展開できるようにする。
(四) 心情や感動を盛り上げる発問をくふうし、児童生徒のものの見方、考え方、感じ方、生き方について深め合えるようにする。
(五) 指導の諸方法について検討し、読み物利用等に偏らないようにして、ねらい、内容、児童生徒の実態に応じた指導を進めるようにする。
(六) 全員参加を前提とし、一人一人の発言を大事にしながら話し合いを進めるようにする。道徳性を身につける上で、話し合い自体、効果のあることに着目し、望ましい話し合いの態度の形成を図るよう指導する。
高等学校
高等学校における道徳教育は、教育課程の中に特設されておらず、学校教育活動全体を通じて行うことが基本であり、その目標は、教育基本法及び学校教育法に定められた教育の根本精神に基づいている。
従って、各教科・科目及び各教科以外の教育活動において、それぞれの特質に応ずる適切な指導を行わなければならない。
(一) 道徳教育の、生徒の人間形成に果たす役割の重要性にかんがみ、特に民主的な国家・社会の有為な形成者として必要な資質を養う見地から、各教科・科目とあいまって、各教科以外の教育活動の四つの内容の精選と充実を図る。
(二) 道徳教育の徹底を図るため、生徒指導に関する年間計画に改善を加え、特に、各学年の道徳教育に関する指導の重点を明確にし、生徒の自主的実践的な活動の充実に努める。
(三) 家庭及び地域社会との連携を緊密化し、生徒一人一人に家庭や社会の諸活動に意欲的に取り組ませ、道徳的実践力の向上に努める。
(四) 生徒の心身の発達に即応して、特に、自律の精神や社会連帯の精神及び責任を重んずる態度や、差別のないよりよい社会を実現しようとする態度を養うための指導が、適切に行われるよう配慮する。