教育福島0040号(1979年(S54)04月)-007page

二、昭和五十四年度福島県教育委員会重点施策

　

県教育委員会は、社会の急速な進展と県民意識の変化に対応し、

豊かな教養と正しい判断力をもつ人間の育成

個人の価値を尊ぶ人間の育成

健康な人間の育成

の理念に立つ“未来をひらく、県民のための生がい教育”の実現を図るため、第二次福島県長期総合教育計画及び第一期実施計画に基づき、昭和五十四年度の重点施策を次のとおり設定する。

　

1　県民の信頼と期待にこたえる学校教育の推進

2　義務制施行に即応する養護教育の推進

3　あすをになう青少年の健全育成の推進

4　すべての県民が自ら学習する社会教育の推進

5　健康と体力つくりを図る社会全体育の推進

6　豊かな心を育てる県民文化の推進

　

三、重点施策の概要

　

県教育委員会は、さきに「未来をひらく、県民のための生がい教育」の実現をめざし、「第二次福島県長期総合教育計画」(昭和五十三〜六十年度)を策定したが、本計画においては、「未来をひらく、県民のための生がい教育」の理念として、次の三つの柱を立て、その実現を図るための諸施策を推進することとしている。

　

1)　豊さな教養と正しい判断力をもつ人間の育成

情報化社会と呼ばれる現代社会の多様な価値観に対処するためには、豊かな教養と正しい判断力をもつ人間の育成が要請される。

そのためには、それぞれの発達段階に応じた知識の習得が前提となると考えられ、その累積が課題解決能力を備えた自主的・自律的人間を育成することになるのである。

　

2)　個人の価値を尊ぶ人間の育成

人間は、個々人がばらばらに存在するものでなく、平和的な国家及び社会の共同体の一員として存在するものであると同時に、一人一人が、社会の形成者であるとの認識に立たなければならない。

そのため、社会人として必要な基本的生活態度・習慣を身につけ自他の人格を尊重し、人間関係をたいせつにする人間の育成が要請されるのである。

　

　

養護学校の機能訓練風景

　

ちえ遅れの子どもの場合、「ちえ」だけでなく「運動機能」も遅れている。このため養護学校の教育内容では、し体、生活、作業の基本動作の改善に関する訓練も大きなウエイトをもつ。

　

3)　健康な人間の育成

健全なる精神は健全なる身体に宿ることは、古今を通じて変わることのない真理の一つと考えられる。豊かな教養と正しい判断力をもつ人間、個人の価値を尊ぶ人間等、心の健康とあいまって、自己をより充実させる原動力となるものであり、その意味で健康な身体の育成は当然要請されるのである。

県教育委員会は、「第二次福島県長期総合教育計画」及び当該計画を具体化するための「第一期実施計画」(昭和五十三〜五十五年度)に基づき、総合的・体系的に教育行政を推進してきたところであるが、昭和五十四年度においても、重点的に推進する施策を選定し、昭和五十四年度の重点施策を前掲のように設定した。

なお、県教育委員会は、従来と同様に、重点施策以外の一般施策とも併せて、教育行政を推進するものであるが市町村教育委員会、学校及びその他の教育機関にあっても、諸施策の実現に努めるよう期待するものである。

　

(1)　重点施策の体系

　

県教育委員会は、教育行政を総合的・体系的に推進するため、昭和五十四年度の重点施策を次のように体系化し、その推進を図るものである。