教育福島0043号(1979年(S54)08月)-021page

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養護教育諸学校における進路指導の重点 養護教育課

 

西郷養護学校 −奉仕作業−

西郷養護学校 −奉仕作業−

 

はじめに

 

最近、養護教育関係者は生徒の卒業後の進路をどう定めるかで悩むことが多い。進路指導の本質を考えれば今さらという観もするが、養護学校教育の義務制にともない重度・重複障害児がすべて就学することとなって、いっそうきめこまかな進路指導が必要になってきている。盲学校においてもあん摩、はり、きゅう等の資格取得が困難な生徒がしだいに増加してきており、肢体不自由養護学校でも脳性麻ひ児の占める割合が高く、精神薄弱をともなっている児童生徒も少なくない。重症心身障害児の進路指導も今後の課題である。また、社会的、職業的自立を目ざす公立小・中学校の特殊学級の進路指導においては不安定な雇用状況の影響を直接受けやすく、より安定した長期的見通しに立つ進路の選択に苦慮している。また、後期中等教育に多大の期待を寄せている社会的すう勢から、なにがなんでも進学という例も生じている。

一方、心身障害者の雇用促進制度もしだいに改善されつつあり、障害者の就業についてはその環境づくりに努力されている。しかし、企業の繁栄と障害者の雇用は両立しないという一般的認識は根強く、関係者の努力にもかかわらず企業責任としての協力を得にくい実情もあろう。安定した長期的な将来の進路が見通しにくい現実である。このためにとりあえずどう第一歩を歩ませるかが見通せず、家庭保護が続いたり、見通しの不安定なまま就職にふみきったりすることも生じやすい。

卒業後の新たな進路の決定には、きわめて現実的な判断をせまられることである。

○情報の収集

適切な情報収集をするためには、アフターケアによる資料の収集もたいせつである。なにが本人を適応させあるいは不適応を生じさせたか。家庭訪問、関係機関訪問なども欠かせない。

○自己理解

障害児の場合、希望どおりの進路に進める場合は、むしろ少ない。まず本人の進路決定にかかわる人々が正しい理解をすることがたいせつである。実習等の機会を自己理解の場として計画的に活用したい。

○進路相談

障害児の場合、進学にしろ就業にしろ選択範囲はせまく、限定される。

 

 

 


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