教育福島0043号(1979年(S54)08月)-022page

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それだけ進路あっせんも大事である。安易にやり直しができるわけではなく、ときには家庭や本人に適度のあきらめをいだかせることも必要になってこよう。根拠のある情報をもとにともにできることをさぐり、相談をくりかえしたい。

〇一貫した指導体制

本人の進路相談にかかわる人は複数である。進路指導主事や学級担任以外の人の言動が強く影響する場合もある。校内のみならず、関係機関とも密接に連絡し、共通理解を深め窓口をしぼって相談に応じたい。

 

一、 盲学校の進路指導

 

福島県立盲学校

 

(一) 前年度の反省

 

1、 情報の収集と整理・活用

本年度の就職率は百パーセントであるが、三療(あん摩・はり・きゅう・マッサージ)は八十パーセントである。病院や同業者のニードと生徒の希望にはずれがある。従来にもまして医師会や業者から求人情報、職場情報・厚生関係その他の情報を集め、その整理・活用について検討する必要がある。

2、 HRTと進路担当との連携

進路指導を学校の教育活動のそれぞれの場に適切に位置づけるためには、学級活動を通じてさらに個別相談・就職への援助をすすめることがたいせつである。本校の場合、親が学校まかせの傾向が強く、係、HRT、家庭との連携が重要である。

3、 アフターケアの必要

特に本校生の場合、離職率からみて定着指導が重要であり、職場訪問はそれ自体、進路担当教師にとってもいきた教訓になるので徹底する必要がある。

4、 個人理解の徹底

三療以外は、福祉がさらに徹底するか特別の才能が一般人より優れていないかぎり安定した職業にはなり得ないだろう。今年の場合、国家試験をとっても、教師の進路指導に反して、卒業ぎりぎりになって三療以外に就職した生徒があった。また、中途失明者の進路については生徒指導の充実を図かり、見通しのある進路指導が考えられなければならない。

5、 職業観、勤労意欲の醸成

本校の場合、おおむね、小学部から中学・高校・専攻科まで、それぞれ施設生活という外気にあたらない場で生活するわけで、職業のきびしさは職場にでてはじめて知るわけである。意志力、行動力、忍耐力を含めその養成の場は、キャリヤ・プランの再検討の中でおさえられなければなるまい。

 

(二) 本年度の目標・改善点

 

1、進路指導の基本の見直し

共通理解を深めるよう努力し、校内体制の確立をはかる。特に生徒理解、情報の活用、相談の徹底、理論・実技のレベルアップ等の徹底をはかる。

2、進路希望の達成

(1) 専攻科よりの進学、国家試験の全員合格を目ざす。

(2) 公立・準公立の大規模病院の職場開拓。

3、 アフターケアの徹底

巡回指導によって問題点の早期発見と定着指導、情報収集等計画的、組織的に行う必要がある。

4、 重度障害やすぐれた生徒の指導

重複障害が多く、多様な生徒が入学してきているので、従来のように三療面で就職がきまる生徒ばかりとはいえない。反面、すぐれた素質もすなおに伸ばしてやらなければならないので、指導のあり方、判別と指導の段階対応等についても教師全体の研修と適切な計画が必要である。

5、 職業安定所との連携

本校生の職業あっせんは職安を通じても困難なものがある。しかし、障害の度合いによっても就職は大きく規制をうける。したがって、社会保障の面からの支えも必要で、法的保護や社会、事業所の理解がなければ従来の職業安定はない。

 

二、 精神薄弱養護学校の進路指導

 

福島県立西郷養護学校

 

精神薄弱養護学校の卒業生の進路を考えるとき、その門戸はせまくきびしい現実につきあたる。この壁を学校教育だけで乗り越えることは不可能とは思うが、明るい将来に一歩でも近づくよう努力する覚悟である。

 

(一) 本校のこれまでの進路状況

 

本校の児童生徒の通学状況は、施設から五十四名、自宅から十名である。情緒障害、自閉症、さらにダウン症と多様化し全面介助を必要とする者を含めて、重度・重複障害の者が多い。今年度からは七名の児童生徒の訪問教育も開始された。そうしたなかで、創立以来今春まで、十九名の卒業生を送りだしてきた。このうち、就職はわずか三名で、他は更生施設入所がほとんどである。昭和五十三年度卒業の男子二名は施設への入所を希望していたが、あきがなく自宅待機中である。来春の卒業予定者は九名で、そのほとんどが施設入所希望である。今年の状況から考え不安が残る。

 

(二) 前年度までの進路指導の反省

 

進路指導の問題点は数多くあるが、今後ますます重度・重複化する傾向にある生徒の実態をふまえ、学校教育の分担すべき分野をしっかりとみきわめる必要がある。施設に入所する場合でも、将来自活していくための技能、手仕事を身につけることを志向した教育活動を展開することが必要である。今

 

 

 


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