教育福島0044号(1979年(S54)09月)-038page
教育センターから
生徒指導の充実強化をめざして
はじめに
社会経済の急速な発展と環境の変化は、児童生徒の意識や行動に強い影響を与え、さまざまな問題行動を多発させている。このことは、学校教育のみならず、社会の大きな寒心事となっている。当教育センターでも、この課題を担って、年を追って生徒指導に関する研修体制の充実強化を図ってきた。すなわち、昭和五十三年度の機構改革に伴い、従来の教育相談部のほかに経営研究部の中に教科外教育係をおき、特別活動や道徳とならんで生徒指導を担当させることにした。また、昭和五十四年度の研修の体系化に応じて、中学校・高等学校生徒指導講座のほかに高等学校生徒指導講座、及び、特別活動や教育相談の講座を新設、強化した。内容的には小学校の各教科の講座に教育相談の講義を、高等学校の各教科の講座に生徒指導に関する講義をそれぞれ必修として加えた。
以下、これらの講座の中で、特に生徒指導についての二講座をとりあげ、その概要を紹介する。
一、中学校・高等学校生徒指導講座
この講座は、中学校及び高等学校の生徒指導に関する基本的諸問題について研修を行い、生徒指導の充実強化に資することを目的としている。8文部省の補助のもとに、全国各都道府県で行っているものである。)当教育センターで行っている講座の内容は前期(表1)、後期(表2)のとおりである。
生徒指導は、究極において理念であり、思想であるといわれる。そこで、前期は主として、本県生徒指導上の問題点のは握と、基礎理論の理解をねらった。後期は前期で修得した理念をふまえて、約半年間、各学校でとりくんだ実践例に基づき、その課題を各方面から話し合い解決の方向をさぐってもらうことをねらった。特に、中・高校の連携については、各教育事務所の指導主事及び高校の駐在指導主事の助力を得て、中・高合同の地区別研究協議の機会を設けた。
参加者の反省をみると、前期の講座の性格から、話し合いの感想は少ないが、「生徒指導とは何か」の基礎理論の理解では、一応の成果を得たことがうかがわれる。次は、前期講座研修者のうち二名の反省記録の一部である。
●「高校教育の諸問題と生徒指導」では、全県的な立場から、高校生の非行の実態をとらえており、本年度の生徒指導の課題が明示されました。
●「生徒指導における法律常識」の資料は貴重な文献として、今後の生徒指導や自己研修に利用します。特に生徒の処分のあり方について、教育的立場からよく考えてみるべきだと
表1 前期講座内容
表2 後期講座内容