教育福島0044号(1979年(S54)09月)-039page

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思いました。法や規則は処分のためよりも、パーソナリティの矯正のためにこそあるという話に感銘を深くしました。

●「ヤング・テレフォン・コーナーの中の少年少女たち」を聞き、教師としての権威を捨て、人間として接することこそ非行に走る少年・少女を救う道だと感じました。教師と関係諸機関との相互理解の必要を知りましだ。補導の最前線に活躍されるかたの情熱にうたれました。

●「本県生徒指導上の問題点」は、生徒をみつめる温かな人格、教師への思いやりをこめた、お人柄を感じさせるお話でした。

●非常に充実した研修でした。忙しい現場をはなれ、同じ立場におられる先生がたと、時間がたつのも忘れて話し合うことができうれしく思います。自宅に帰ると、どっと疲れを感じますが、それは決して不快なものではなく、生命の充実につながるようなものであると思います。(郡山北工業高校教諭 栃沢巳知夫)

●生徒指導の本質に迫るお話が聞かれ、何か私たちが歩んで来た道に誤りがあったことに気付かされました。今までは全体の中の個という形で生徒をとらえ、その枠の中で規制されるのは当然と考えてきました。純粋に生徒を生かすことに百パーセント意識が向いていなかったような気がします。その意味で原野広太郎先生やその他の講師の先生がたのお話に、「本質へのいざない」を覚えました。有難く感謝いたしております。(本宮高校教諭 民井正男)

 

二、高等学校生徒指導講座

 

この講座は専門一次研修として、比較的経騒年数の若い先生がたを対象として本年度より新設された講座である。

高等学校では、学業指導上の問題を多くかかえ、また、生徒や父兄とのかかわり方、接し方にとまどいを感じている若い先生がたのために、この講座では学級経営を中心に、学業指導や生徒理解の基本を修得することをねらった。

研修内容は表3のとおりである。

講座の性格上、生徒指導の基礎理論の理解が中心となり、講義形式が多くなっているが、生徒理解のための各種診断テストの演習など、すぐに役立つ技能の修得にも意を用いた。また、学級経営一般、ホームルーム、クラブ活動や学校行事などの集団指導における各校の問題点や悩みなどを率直に出し合って、その解決の方向を見出してもらう研究協議の機会も設けてある。

ただ中・高生徒指導講座にくらべると、どちらかといえば入門講座的色彩が濃いので、経験年数の浅い先生がたの研修が望まれる。

 

終わりに

 

講師陣には全国的視野のもとに問題を俯瞰(ふかん)できる権威ある先生を選んだ。すなわち、

○「生徒指導の基礎理論」「生徒指導

と学習指導」 筑波大学 原野広太郎教授

○「青年期の心理」「現代青年の意識と行動」 福島大学 徳田安俊教授

○「生徒指導におけるホーム・ルーム担任の役割」 宇都宮大学 岩田茂樹教授

などである。

また、本県における生徒指導上の課題や問題点については、義務教育課長、高校教育課長はじめ本庁の指導主事の助力を得、地域の問題には各教育事務所や駐在の指導主事の助言をうけている。

生徒指導の研修に来られる先生がたは各学校のさまざまの課題をかかえ、非常に緊迫した気持ちでこられるかたが多い。しかし、生徒指導は担当の先生だけの問題ではなく、自校のすべての先生がすべての生徒に対して、あらゆる場で行われなければならない教育機能である。この意味で、教育センターでの研修が個人の研修に終わらず各校の校内研修に役立ってもらえれば有難い。

また、最近の女子生徒の非行の増加の点からみて、女の先生がたにも生徒指導によりいっそうの関心をもたれ積極的に本講座に参加されることを願うものである。

「生徒指導に万能の方法はない」ともいわれる。多発する生徒指導上の問題にただちに有効な手段というものはそう多くはないであろう。しかし、だからこそ、あらゆる面からその方法について、実践例をふまえながら、不断の研修をつむことが必要になるのではないだろうか。

また、生徒指導は帰するところ、教師と生徒との人間関係だともいえる。生徒に態度変容を迫るならば、当然教師の側の態度も問題となるであろう。この意味においても、本講座が、明日の生徒指導の充実強化の一助となれば幸いである。

 

表3  研修内容

表3  研修内容

 

 

 


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