教育福島0047号(1979年(S54)12月)-012page

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ンターなどができればよいと思うのでその施設を望みたい。

 

鴫原

身障者雇用制度があるが、現実はほど遠い。そこで例えば県立公園の清掃などを失業対策事業でなく軽度身障者などで採用してはどうか。社会復帰の門を開いてやることを積極的に進めていくことも必要であろう。

 

司会

最後に堀口先生にお願いします。

 

障害児教育から学ぶべきもの

 

堀口

高校教育については、最後は教師論におちついたようである。ところで私立高校は、これ以上の進学率はのぞめないのできちんとしたことを生徒に指導しないと前途は明るくならないということで、教職科目の勉強をあらためてはじめる気運がふくらんできている。そういう点で授業研究などの研究をやらないと、これからの生徒にとりくめないという気がしているので積極的に進めてほしい。

次に高校教員の採用試験の場合、試験問題をみると、免許法で定められている最低単位を取得していれば採用される傾向がある。試験問題の内容については、専門的学問以外のものも考慮すべきではなかろうか。

三つめに、障害児教育ではだんだん重度・重複の子供がふえてきているので早い段階での医療教育措置が必要である。学齢に達してからでは手遅れになる。それを防ぐには、就学前教育のための幼稚部の設置も問題になるだろう。また、重度・重複の障害児は、社会参加には手がかかるので、その面から高等部の設置も必要になるだろう。

高等部、幼稚部の設置を文部省も考えているようだが、どちらを早く設置するかは行政的課題であろう。専門家関係者の意見をじゅうぶん聞いてほしい。最後は、障害児教育の内容・方法の原理についてであるが、指導は個別指導が原則である。潜在的可能性を信じて指導する姿勢は、普通児の場合も同じ原理・原則である。そういう教育の原理・原則が障害児教育には含まれているので、健常児の教育に当たっている者にも障害児教育から学ぶべきことを積極的に研修させることがたいせつである。

 

真の教育の姿とは……(堀口氏)

真の教育の姿とは……(堀口氏)

 

養護教育課長

 

養護教育課長

第一点は、重度・重複化の傾向が進んできているということである。私どもの調査では、精薄の養護学校の場合は半分くらい重度・重複化の傾向がある。重度・重複化の教育については、まだまだ未開発の分野が多いので、今後じゅうぶん研究していかなければならないと思っている。

障害児の教育は、一人一人の子供を大事にして、可能性を引き出し指導することがたいせつであるといわれているが、普通の学校の教育の場合も同じである。したがって障害児の教育は、教育の原点ではないかと思う。

次に訪問教育についてであるが、本県では四十九年から実施している。発足当時は、対象児が二十名で、五名の先生で実施していたが、今年度は百八名の対象児に二十五名の教師がこれに当たっている。

訪問教育は、対象児が在宅であるので、家族の協力が得られないと効果が上がらないので、訪問教育に当たる先生にもその点を指導している。

終わりに、進路関係のことでは、地域社会の理解を得なければならない。そこで、いろいろパンフレットを配布したり、各教育事務所ごとの啓発活動をしているが、効果も遅々としているので、今後もっと力をそそがなければならないと思っている。

また、障害児に対する理解は、小・中学校時代から福祉の心を育てることがたいせつなので、本年度から理解推進事業として、小・中学校と、養護学校とが互いに交歓会や合同野外活動を行って理解を深めることを行っている。

今後は、父兄や一般のかたがたにも理解をしていただくための方策を考えていきたい。

 

司会

まだまだお聞きしたいことがたくさんあるように思いますが、時間でもありますので、座談会を閉じたいと思います。

長時間にわたって貴重なご意見をいただき、ありがとうございました。

 

 

 


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