教育福島0047号(1979年(S54)12月)-014page

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特集

 

地方の時代の文化行政

 

新しい時代の文代行政

 

新しい時代の文代行政

 

近年これまでの生活の豊かさに対する人々の考え方が物質の量的拡大から精神的・文化的な価値の高いものへと豊かさの質が問い直され、それぞれが個性ある、より充実した生き方を求める新しい価値観が台頭してきた。そして文化・スポーツ・レクリェーション活動などを通じて、人間性の回復と、生きがいに満ちた生活をめざす自主的・創造的な動きが活発化してきている

また、地域の特性、伝統及び生活に根ざした地域の文化を大事にし、それを継承し、さらに発展させていこうとする気運も生まれてきた。

こうして、今や地域と文化は今日的課題となり、人々の自主的な文化活動を地域に広げ、個性豊かな地域づくりに結びつけていくための、文化行政の対応が求められるようになってきている。

中央教育審議会の「地域と文化について」の答申には、「文化活動は、国民の一人一人がそれを通じて、個性を伸ばし創造性を培い、自己の向上を図ろうとする営みである」という定義づけをしているが、文化というものは、芸術的に高いもの、優れたものだけではなく、我々の日常生活の中で創意・くふうをこらし、よりよくしようとし活動することが文化であり、そしてその活動をとおして、みずからを高め、地域社会を向上させ、やすらぎと生きがいを見い出していくことが、広い意味の文化活動であるといえる。そして、各自の個性を基盤とした文化創造活動が活発化するに伴いそれが地域社会の中で、伝統的文化と調和し、個性豊かな地域文化が形成され、それが子孫に伝承、発展して、より豊かな地域社会がつくられていくものと思われる。現在、県内には約二千の文化団体と約十万人の会員が活動しており、年々その活動は活発化し多彩になっている。こうした活動は、地域の人々の手により地域の伝統や生活に根ざした内容のものを中心として相互に協調し、自分たちのものを創出しようとする動きが強くなってきている。

こうした県内文化状況の中で、県では、県民文化が県民一人一人の関心や創意・くふうの活動の高まりによって形成されるという基本的な考えを踏まえ、地域住民の意欲や創意を積極的に生かし、その活力を発揮できるよう、そのためのきっかけづくりや条件整備を推進しようとしているところである。

また、これまでの文化行政は、文化財や芸術文化を中心に展開されてきたが、今後は、行政の全分野を文化的視点から見直し、個々の施策の中に文化性を積極的に投入し、行政施策にゆとり、うるおいなどの人間性、シンボル性、地域性、創造性、美観性などの要素を取り入れ、豊かな県民生活づくりのための文化行政を展開しようと検討しているところである。

 

 

 


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