教育福島0048号(1980年(S55)01月)-032page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

知っておきたい教育法令

教育財産

 

一、教育財産とは

学校の校舎、敷地、各種の教材・教具、備品等は、教育財産といわれ県や市町村が所有する他の財産とは異なった取り扱いがなされている。例えば地方公共団体の財産は、一般に長が管理を行うのであるが教育財産にあっては教育委員会が管理を行うというごとくである。したがって教育財産についてその範囲を明確にすることが必要になる。

まず教育財産とは何かであるが地教行法第二十三条は「学校その他の教育機関の用に供する財産」を教育財産というと規定している。ここで教育機関とは、法律で定めるところにより設置する学校、図書館、公民館等と条例で設置する教育センター、少年自然の家等である。また財産とは、校舎、校地、運動場、学校図書、標本等動産・不動産をとわず、およそ財産権の対象となるすべてのものをいう。ただ注意すべきことは現金や消耗品はこの財産には含まれないことである。

なお地方自治法上では財産を四つに分類しているがこれを図示すると下表のとおりである。

 

二、教育財産の具体的範囲

次に、教育財産の具体的な範囲であるが行政実例から二、三取り上げてみると

(1)教育委員会庁舎は、教育財産ではない。

(2)校長、教員等の公舎は、それが学校の設置及び運営の目的範囲内にあるという前提のもとに教育財産とみなしてよい。したがって、単に公営住宅の一部を事実上校長、教員の住宅にあてているような場合教育財産とみなすことはできない。

(3)育英事業として設置した学生寮は、教育財産ではない。

(4)農業高校の農場、飼育する家畜は、教育財産に該当する。また農産物又は家畜の子も財務規則その他に別段の定めがなされていない場合には教育財産である。

 

三、教育財産の管理

地方公共団体の財産を取得し、管理し及び処分することは、長の権限である。(地自法百四十九条)しかし、教育財産の場合、その取得については長は、教育委員会の申出をまって行い、また教育財産を取得したときは、速やかに教育委員会に引き継がなければならないことになっている。(地教行法二十八条)さらに、教育財産の管理は長の総括のもとに教育委員会が行うとされている。「長の総括のもとに」とは、財産の効率的運用を図るため必要な調整を行い、管理及び処分の事務を統一し、必要な調査、報告を求めることができることである。また、教育財産の管理とは、財産の移転又は消滅を生ずることなくその性質を変更しない範囲内において使用し、収益し、維持改良し時効を中断する等の法律上及び事実上の行為を意味する。

ところで教育財産の多くは、前述の行政財産にあたる。したがってこの場合原則としてこれを貸し付けたり、交換したり、売り払ったりなどすることが禁止されている。ただ、その用途、目的を妨げない限度において使用を許可することができる。例えば、学校や公民館の建物の一部を利用して売店を経営することとか教育センターに食堂を設けるなどがこれである。(詳細は、「学校施設の目的外使用について」本書五十一年九月号四十一ページ参照。)

学校の備品等の物品管理については、教育の用に供せられるまでの間は出納長又は収入役の保管に属するが、教育の用に供せられた後は教育委員会においてこれを管理することとなる。

最後に、教育委員会の管理する財産は教育財産に限られるものではないことに留意すべきである。前述の教育委員会庁舎や学生寮等は教育委員会が管理するものである。

 

 

 

 

 


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育委員会に帰属します。