教育福島0050号(1980年(S55)04月)-039page

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今年度新たに取り組むものとして習熟度別学習指導の問題がある。

能力・適正・進路等において、多様化しつつある高等学校生徒の教育に対応するよう、教育課程の編成及び実施に関することについて検討を深めながら、特に学習内容の習熟の程度に応じた、適切な指導のあり方を研究するものである。

この分野の研究開発例は、現在までのところそう多くなく、資料も手薄なため、昭和五十五年度においては、情報の収集及び先進校等の実態調査に当たるとともに、この種の指導に関する基礎理論の構築を努力し、本主題解明のための見通しをつけることにしている。

(四)福島県標準学力診断検査問題の研究

教育課程の改訂に伴い、従来作成、実施してきた当教育センターの標準学力診断検査問題を全面的に改訂するための継続研究である。

新教育課程のねらいに沿った検査問題とすること及び児童の学力を診断・把握し、学習指導の改善に真に役たつ検査問題とすることを目指している。

昭和五十四年度までに小学校四〜六学年用の国語・社会・算数・理科の問題を完成し、県下抽出校による検査を実施して学力の実態を把握した。

五十五年度は、小学校一〜三年対象の国語・算数の検査問題を作成するための研究をすすめるとともに、これまでの標準学力診断の結果を、教育センター紀要「福島県標準学力診断検査問題による学力分析報告書」にまとめ、関係各機関に配付し検討していただく予定である。

(五)教育相談に関する研究

教育センターが行う教育相談は幼児、児童・生徒の教育上の諸問題に関して学校又は親からの相談に応じ、一人一人の望ましい生長発達に資するための教育のあり方について、方法的な援助を与えることを通して、個人理解の検査・調査の方法を研究しようとするものである。

相談内容は、1)知能・学業2)性格・行動3)身体・神経4)進路・適性5)教育一般となっている。

昭和五十四年度来談者の延べ件数は約一千二百件に達したが、なお増加の傾向にある。このため、昭和五十五年度においては、出張教育相談を二地区程度で行う計画をたて、現在、実施のための準備をすすめているところである。

(六)新教育課程の実施に関する研究

昭和五十五年度、新たに「新教育課程の実施に関する研究」に取り組む。これは、従来の「学習指導に関する研究」を継承する研究で、成果を教育センター紀要にまとめ、関係各機関に配付し検討をいただく予定である。

 

二、研修事業について

 

教育センターが行う研修講座は、昭和四十六年福島県教育センター発足と同時に開始され、今日に至っているが、現在の研修講座は、第二次福島県長期総合教育計画(昭和五十三年)下の「教職員現職教育計画」に基づく研修の一環をなしているといってよい。これは、研修により教職員の資質能力の絶えざる向上を図ることが、学校教育の充実・発展にとって基本的課題であるとの認識に基づいて策定された、県教職員研修の充実計画であって、当教育センターがこの計画で担当するのは、学校経営・教科指導・道徳・特別活動(各教科以外の教育活動)・生徒指導・教育相談である。

これらは教職員現職教育計画(福島県教育委員会・五十五年度版)の「教職員研修の体系化図表」の中で、専門研修1)のBとして位置づけられており、現職教育計画の中の基本研修が、職責遂行上必要な基本的知識・技能等の習得を目指すのに対し、基本研修を基盤として、職責遂行上必要な専門的知識・技能等の習得を目指すものである。

(一)研修計画について

教育センターの研修講座はすべて、一次、二次又は共通の研修区分であり、一次は、教職経験年数十年未満の者、二次は、その年数が十年以上の者(ただし、一次研修には、当分の間二十年未満も含む)とし、共通は、その制限を持たない者となっている。

また、講座は、小学校、中学校(県立学校の小・中学部を含む)、高等学校共通の各講座に大別して行われ、研修区分で数える講座の総数は、八十四に達する。それぞれ、福島県教育センター研修計画(昭和五十五年度版)に従って実施されるわけであるが、その詳細については同計画によって御承知願いたい。

(二)講座内容について

講座は、その特質に応じて講義、演習、実習、制作、実験等種々の形態が工夫され、研修者にとって研修しやすいものとなるような配慮をもって運営される。特に今年度は、新教育課程が小学校を皮切りに実施されるので、各講座における実施上の諸問題の把握と解明、また教育実践にかかわる留意事項の検討など、講座本来の目的達成と併せた成果が得られるように、講座要項の準備をすすめている。

また、講師及び助言者は、県の内外にわたって幅広く人選し、講座の内容にふさわしい研究や実績のある大学教授、助教授、学識経験者、教育庁及び現場の教師など多彩な指導陣による講座内容の充実を図っている。

各講座の主たる内容、その他関係事項については、福島県教育センター研修事業計画(昭和五十五年度版、小・中・高別)によって御承知願いたい。

 

 

 


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