教育福島0054号(1980年(S55)09月)-031page

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緑の郷土づくり

(内川小・関辺小)

−県南教育事務所−

 

感謝されて六年−−

矢祭町緑の少年団

 

“おらの山矢祭山をゴミのない緑の美しい山に”と清掃、植樹等に努力し多くのかたから感謝されているのが、「矢祭町緑の少年団」である。

この緑の少年団は、昭和四十九年十月、福島県の南端八溝山麓の小規模校東白川郡矢祭町立内川小学校の児童により結成された。

現在四年生以上の純朴な児童四十九名が、校内の緑のタイムと相まって、県立公園矢祭山の清掃“緑化、並びに野鳥のための巣箱づくりにつとめている。

 

美化に一役(内川小学校児童)

美化に一役(内川小学校児童)

 

また、キャンプ生活や植樹行事、森林視察と学習会等にも参加し、自作の「緑の少年団団歌」

-みどりゆたかな やまつりの

かがやくあさの ひをうけて

………………

われらやまつりやまの 少年団−

を口々に活動を重ね、地域住民や観光客に対して、自然愛護と野鳥の保護をピーアールし、結成当時から比べると公園内のゴミも少なくなってきたと喜んでいる。

この緑の少年団の努力に対して、国土緑化推進委員会の表彰、福島茨城両県知事賞などが贈られ、その活動は、高く評価されている。

 

全校生一体となって

−−関山清掃登山

 

「はい、一年生来たな」

白河市立関辺小学校の六年生・五年生の手が、小さい小さい手をしっかり握る。

「いかったぁ」

うれしさを顔いっぱいに表した一年生たちが、ぶらさがるようにして二校時終了後の校庭から出発する。

ビニールの肥料袋等に、肩かけのひもをつけた、即席の廃棄物収集袋を背にしている児童たちは、平担地を十分も歩くと、急な登山道にはいる。

関山−−

白河の関ゆかりの山は、かつて芭蕉も関跡の行路にいれたという。

かつては富士山の見える北限の山ともいわれ、南湖公園を経て見るその美しい姿は、白河市民にとって、身近な故郷の山として、心にしみるものがある。“故郷のすべてを大切にする心を育てよう”−自然も文化もそこに生きる全ての人々をも−という考えが基になり、いろいろな行事が計画され実行されている。

最も身近な関山の頂上付近の清掃を全校生で…ということは、もう十年以上も春と秋の二回ずつ行われている。

頂上で昼食をとり、一斉に可燃物、不燃焼物別に収集する。どの袋にも、あきかん等がみているうちにいっぱいになってくる。

どの児童も収集した廃棄物をしっかりと背負って学校へ帰ってくる。

「関山が軽くなったみたい」

「関山が美しくなったみたい」

児童たちのことばである。

現代っ子は、とかく働きたがらない。自己中心的で食べかすもポイポイ平気で捨てる。郷土愛も道徳心も欠けているといわれているが、ここで紹介した子供たちは、数年間にわたり−郷土の緑を守ろう。ゴミのない美しい郷土をつくろう。−を合い言葉に活動を続け、ここに郷土愛がすくすくと育まれ、道徳心も培われてきたように思われる。

この活動を通して、次代を担うこの子供たちに、むしろたのもしささえ感じられてならない。

 

 

 


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