教育福島0054号(1980年(S55)09月)-050page
ふるさと探訪
県指定重要文化財
(絵画)絵馬大江山図 一面
(鳥居清信筆)
田村神社絵馬で高く評価されるのは鳥居派の大絵馬二面があることである。
清信の絵馬は家屋型の大絵馬で、黒漆ぬりの額縁には銅製の飾金具があり丸形の巴紋がある。源頼光が山伏姿に扮して酒呑童子を退治する図で、右下に洞窟の入口があるのは、洞内を展開図に広大に描いた珍らしい手法で清信のアイディアであろう。洞内には四半敷の大広間があり、左上図に童子は美しい少年の姿で待女を従え、右上に頼光主従が、中央から下方にかけておどけた表情の鬼共がいる。清信の画法は俗に「瓢箪足みみず描き」といわれる人物の描線の肥痩味を極端に表現する手法が遺憾なく発揮される大作で、左下の衝立に「日本画工鳥居清信図」と落款即章がある。本絵馬は[日本画工」と署名しているところから清信の自負した作品であるといわれる。
一口解説
絵馬の指定基準について
絵馬の場合は「絵画」または「歴史資料」として価値が高いものを重要文化財として指定し、民俗文化財として価値が高いものを有形民俗文化財として指定することにしている。
なお重要文化財は各時代の中で一般に製作が優秀なもの、歴史上、芸術史上意義が深く学術的価値の高いものを選んで指定する。
有形民俗文化財は、形様、製作技法、用法等において我が国民の基盤的生活文化の特色を示すもので典型的なものとして価値の高いものを推定するものである。
寸法 縦百六十五センチメートル
横二百五十五センチメートル
所有者 田村神社
所在地 郡山市田村町山中字本郷135番地