教育福島0056号(1980年(S55)11月)-033page

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(二) LL演習

LL演習は毎日行われ、参加者の熱心な態度がみなぎっていた。

一般にLLの効果として、次のようなことがあげられている。

(1) 学習者側に対して

1) 反復練習による進歩が大きい。

2) 精神が集中できる。

3) 学習条件が平等化される。また、システムによっては、学習到達に応じたグループわけによる学習活動も可能である。

4) 個別学習、対話学習による練習の量が保たれ、質の向上が図れる。

5)比較学習によって考え、修正することができる。

6) 映像システムと併用した場合、より効果的言語活動ができる。

(2) 教師側に対して

1) 臨場感による学習の動機づけができる。

2) 反復練習の手間と学力が省ける。

3) 対話による指導ができる。

4) 自主学習、グループ学習が容易にできる。

5) 学習のフィードバックができる。

6) 教師自身の英語力も高まってくる。

(三) LL教材、OHP教材作製オリエンテーション並びにLL機器操作

ここでは、二班に分けて交互にLL及びOHP教材作製のオリエンテーションをおこなった。更に、LL機器操作実習に入ったが、当センターのLLは最新式のフルラボで、これをマスターすることは一朝一夕にできるものではなく、マスターコンソール、オートテロップ、データビュア、アナライザー、VTR装置などについての簡単な操作と説明だけにとどめた。

(四) LL教材及びOHP教材作製

オリエンテーションの後、LL教材班、OHP教材班の二班に分かれ、それぞれ教材を作製する実習である。

LL班では、三名程度でグループを編成し、各グループが教材を選択し、その内容についての分折、検討をおこない、作成意図に従って、指導過程の概略を書き出し、実習計画書を作成する。

更に、計画書に基づいて、綿密な録音原稿を作製し、ドライリハーサルに入る。これらの作業は、参加者にとって、初めての経験でもあり、頭脳的労働で、まる三時間は、たっぷりかかった。

それでも参加者は、よりよい作品製作意欲にかきたてられ、休む間もなく熱心に実習にあたっていた。

こうして出来上がった原稿は、桜の聖母短期大学のM・ラマシュ講師と、当所のJ・H・ホランド英語指導主事助手により録音され、各班みごとに自作LLテープ教材を作製することができた。

一方、OHP班は、各自、教材を選択し、教材の分析、検討をおこない、視覚教材として、どのような作り方が有効であるか、指導のどの場面で、どう活用したら効率的授業展開ができるか製作実習計画に従って、熱心に実習にあたっていた。

各参加者は、新しい手法にもとづいて、TP三枚程度を作製した。実習作業は、実に楽しそうであり、また、真剣さがみなぎっていた。

(五) LL及び機器活用と今後の展望

中央講師として、教育機器関係の第一人者である東京大学鈴木博助教授を昨年につづいてお迎えし、有意義な講義を受けることができた。

講義の主な内容は次のとおり

1) LLに何を期待できるか

2) LLと普通授業の関係

3) LL用市販教材と自作教材

4) ビデオ教材を作ってみよう

5) 教育機器を使いこなすには

以上について、それぞれ豊富な実例と自作教材を提示しての貴重なヒントに富む講義には、参加者全員が深く感銘を受けた。

(六) 作品発表

最終日は、OHP班・LL班もそれぞれの自作教材の発表とそれについてのコメントがなされた。まさに、本講座のハイライトの一つである。各班とも自作教材並びに発表内容には、工夫がこらされ、眼を見張るものが多くみられた。

 

三 おわりに

 

LL学習がかかえている問題は多面にわたっているが、新しい時代の言語学習に添った教育機器の活用は、極めて大きな意味をもつものと考える。

本講座参加者の感想などを見てみると、学校では学習できない理論、指導、技術、それに演習等充実した研修ができた。(梁川中渡辺智教諭)これからの英語教育には、機器利用の必要性を痛感し、VTR、OHP、テープなどの関連で、よい視聴覚教材を作ってみたい意欲が湧いてきた。(勿来二中山田昭栄教諭)内容・方法とも実践を通した講座のため、受講の成果が確かな手応えとして実感された。(福島北高植田寿教諭)

など、それぞれ充実した講座内容であったことがうかがえる。

 

真剣なLL演習

真剣なLL演習

 

 

 


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