教育福島0057号(1980年(S55)12月)-022page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

集落遺跡のため一部を盛土保存をして望外な成果を上げ終了し、今後の報告が期待されている。(資料提供者、小滝利意氏)

 

複式炉検出状況

 

複式炉検出状況

 

7 郡山台遺跡(二本松市所在、二本松市教育委員会調査)

二本松市杉田に所在するこの遺跡は古くから郡山台と呼称され、礎石、焼米等が出土し地域に見知されていた。

平安時代に編さんされた「延喜式」の頭注に「延喜六年正月分安積郡置安達郡」と記されており、この地が「安達郡衙」跡と比定され、昭和五十一年度から遺跡確認調査を開始し今年度で五年目を数えている。

発見された遺構、遺物は、掘立柱建物跡、竪穴住居跡、土壙跡、土師器、須恵器等の多くの貴重な資料を得、今後の調査の進展に伴い大きな期待がよせられている。(資料提供者、根本豊徳氏)

 

遺構検出状況

 

遺構検出状況

 

8 中の町遺跡(長沼町所在、長沼町教育委員会調査)

県営圃場整備事業地内に存する遺跡の発掘調査で、古墳時代から平安時代にかけての多くの遺構・遺物を出土した。他に十数点の縄文土器片が発見され、尖底部の破片から縄文時代早期中葉に位置づけられる三戸式並行と考えられるものも出土し注目されている。

主な遺構・遺物は、竪穴式住居跡四基、掘立柱建物跡二十一棟、大小の土壙多数と土師器窯跡と想定される焼土層が検出された。今後資料整理が進むにつれて、この焼土層がどのような性格に位置づけられるものか注目されている。(資料提供者、田中正能氏)

 

遺物検出状況

 

遺物検出状況

 

9 倉橋遺跡(河東町所在、河東町教育委員会調査)

県営圃場整備事業に伴う工事中、発見された遺跡で、竪穴式住居跡十基、溝状遺構四条、土壙十基の発掘調査を行った。出土遺物は、古式土師器を含む土器類と、剣形石製模造品、管玉、紡錘車等を検出し、古墳時代から平安時代にかけての集落跡である。また剣形石製模造品の出土は、会津地方における初例として注目されている。(資料提供者、小滝利意代)

 

住居跡

 

住居跡

 

(二) 第八回福島県埋蔵文化財発掘技術講習会

この講習会は、埋蔵文化財の発掘調査体制の強化と保護処理の徹底を期すため、専門的知識と技術の向上を図ることを目的として開催しているが、本年度は白河市教育委員会の後援を受けて高山遺跡及び太陽の国厚生センターを会場とし実施した。参加者は行政担当者など二十名を数え、当面する課題の解決のために熱心に取り組んだ。

講習生は、この研修成果を生かし各市町村の埋蔵文化財行政及び調査を遂行している。

 

 

 


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育委員会に帰属します。