教育福島0058号(1981年(S56)01月)-037page

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ためには、指導目標を明確にすることが大切である。このことはそのまま評価につながり、評価を可能にするには目標がそれだけ明確化されなければならないことが確認された。

<児童画の見方>

実際の児童作品<絵画>による見方を行い、子供らしく、のびのびと描けた創造的な絵画とはどのようなものか、非創造的な絵画とはどのようなものか、あわせて教師自身の鑑賞眼を高めるためにはどのようなポイントをおさえればよいかなどについて、具体例をあげて検討した。

(二) 二次研修(一般)

二次研修では、具体的な教材を取り上げ、その技法と指導法に関する研修を深め、指導力を高めることをねらいとしている。講座の日程、内容は表2のように計画をたて実施した。第一日、第四日は、一次研修と同内容なので省略する。

<紙を主材とした工作>

低学年で多く取り上げられる紙の造形について講義・実習を通して研修を深めた。紙の性質、用具(ハサミ、カッターナイフ)の正しい取り扱いを再確認した。

<木版画の指導法>

木版画についての講義を行い、小学校における木版画の意義、歴史的な変遷の過程から、木版画をどのようなものとしてとらえるかについて考察し、木版画の製作を通して、その特質や技術指導のあり方について研修を深め、実際の製作を通して会得することの大切さが再認識された。

<鑑賞の指導>

鑑賞は主として自然や造形作品などを対象に、美を楽しみ味わうことを意味する。また、そこに批判、評価の精神を含むものとされる。

鑑賞と表現は一体とする立場に立って指導するのが当然であり、表現に伴った鑑賞指導により造形的な創造活動の基礎を養うとともに、見ることによって表現への意欲を高めることを助長し、造形作品を味わう態度を養い、豊かな情操を育てていこうとするものである。そのために、各学校における鑑賞環境の整備の必要性が確認された。

(三) 二次研修(高学年担任)

この講座は、高学年の教材内容とその指導法及び指導上の諸問題に関する研修を深め、指導力を高めることをねらいとしている。講座の日程・内容は表3のとおりである。第一日、第三日、第四日は、表2とほぼ同じである。

<彫塑表現−レリーフ>

彫塑についての講義を行い、彫塑の意義、小学校における彫塑学習のあり方について考察した。それは、粘土に慣れること、粘土遊びから始まり、量としての見方、つかみ方、立体感覚の表現を養うことであるとして、指導法の実際を、レリーフ表現により、パルプ粘土を使用して行った。時に、製作のポイントとなるべき点を重点的に取り上げ、方法、手順についても指導の留意点を明示して実習を進めた。

三 おわりに

以上は講座の概略ですが、講師の先生の適切な指導助言と、受講の先生の熱心な研究態度、製作態度に支えられ、大きな成果をあげることができた。

昭和五十六年度、小学校図画工作講座への先生の積極的な参加を期待するとともに、本年度当講座に参加された先生の感想を紹介し、結びとする。

 

・静物写生、本工作(輪投げ)の製作実習は、神経をつかい容易ではなかったがそれだけに完成の喜びは格別であった。(郡山市立開成小学校教諭、鈴木弘)

・技術など何もない私にとって全てが新鮮で、勉強になった。(鹿島町立上真野小学校教諭 下藤静枝)

・彫塑及び版画の実技実習の中に基礎理論を加えての講座は非常に勉強になり、すぐ役立つ内容で、研修を終えた今、充実した気持ちでいっぱいである。(いわき市立小名浜西小学校教諭 小野金次郎)

 

表2

 

表2

 

表3

 

表3

 

表3

 

彫塑表現実習風景

 

 

 


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