教育福島0058号(1981年(S56)01月)-036page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

教育センターから

 

図画工作教育のあり方を求めて

 

一 はじめに

本年度より完全実施となった新学習指導要領は、「創造的な表現製作の喜びをいっそう深く味わわせることに重点を置くとともに、指導の効果を高めるため、領域を整理統合し、内容の精選をする」などの基本方針を受けて作成されたものである。

「小学校図画工作講座」では、その基本方針をふまえて講座内容を充実させるため、基礎理論及び実技についての研修を通して指導力を高めることを目的としているが、しかし限られた日時の中で図画工作の全領域をもうらすることは、とうてい不可能なことである。各領域の中でいま何が学校で要求され、何が必要とされているかを考えて講座内容を編成した。

表現製作の喜びを児童に、一層深く味わわせるためには、表現の過程において、構想や技術等のつまずきを把握し、児童一人一人に即して適切な指導助言ができるよう、造形表現の特質や技術指導のあり方について研究を深め、また、児童の造形的な見方、考え方、表し方を大切にし、教師の主観を押しつけたり、作品効果のみを追った指導にならないようにし、常に教科のねらいに即して指導を進めることが必要である。

そこで、どのようにすれば平面的、立体的、構造的な内容の指導に容易に取り組むことができるか、また、どうすれば効果的な指導を進めることができるかなどについて、教師自身の製作体験を通してとらえてもらうことに重点を置いて、講座内容を組み立てた。

 

二 講座の内容

昭和五十五年度、小学校図画工作講座は、一次研修(一般)、二次研修(一般)、二次研修(高学年担任)の三講座が実施されました。

一次研修は、教職経験の短い先生がたを、二次研修は、教職経験の長い先生がたを対象にしたものである。

(一) 一次研修(一般)

一次研修では、基礎的、基本的な実技、実習を中心に、講義、演習などを通して研修を深め、指導力を高めることをねらいとし、三泊四日の研修を有効に活用できるよう講座の内容、日程を表1のように計画、実施した。

<静物写生−水彩表現>

絵を描くことは、造形活動の基礎要素の一つとして大切な要件となる。実際の実技、実習を通して、子供たちの表現の過程、構想や技術等のつまずきを把握し、写生表現の特質や技術指導のあり方について研修を深めた。

初めて絵筆を持った先生がたもおられたが花や果物を囲み、終始和やかな雰囲気のうちに多くの成果をあげることができた。

<木を主材とした工作−輪投げ>

木材による工作は第一に、児童の生活経験と心情に根ざす想像力を豊かに育てあげていく配慮が必要であり、第二に、地域の特質を考え、身近なものに対する関心を高め再発見の喜びを感じとらせる。第三に、造形的な学習に児童が興味と関心をもつような指導計画で授業を進めることが確認された。実習として「輪投げ」の製作を行い、作品完成の喜びを体得するとともに、作品の見方、感じ方について協議した。

<図画工作科指導上の諸問題>

指導計画作成上の問題点としては、次の二点が当面の課題として追求されねばならないこととしてあげられた。

・教材の精選と指導の重点化

・各内容の取り扱い

教材の精選と指導の重点化の改善の

 

表1

 

表1

 

 

 


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育委員会に帰属します。