教育福島0061号(1981年(S56)06月)-016page
五 実践事例
(一) 学級担任による活動
1) 十分な活動の時間がとれない現状を踏まえ、“いつでも・どこでも”活動することを重視する。
2) 定期相談は、全生徒に対し行う。
3) 呼び出し相談は、日常の観察活動や学習ノートなどから、特に必要とする生徒に対して行う。
4) グループ、ペア相談などを積極的に取り入れる。
5) 活動に当たっては、収集した資料などを十分活用し、事後は累加記録をとり、指導に備える。
6) 学習ノート利用による紙上対談を積極的に取り入れる。
(二) 学習ノートでの学級担任と生徒との対談の一例 二年女子
P) 今日でテストは終わり、うれしいな。ゆっくり寝たい。しかし、点数が気がかりだ。またお母さんに叱られるのかなあー
T) ごくろうさんでした。努力を認めます。どの数科に自信がありませんでした?。ゆっくり寝て、またがんばろうね。 (十二月七日)
P) テストの結果については今回の反省を次に生かすよう努力します。
今日体重をはかったら、なんと五十五キロ。なぜこんなに太るんだろう。人学したころの太さになりたいなあ。部活動は、あさってより走るそうだ。長距離を思いつきり走ってみよう。少しは細くなるかも。
T) 体重のふえたことを気にしているね。先生もそろそろ中年、毎朝少しだがジョギングを始めたよ。 (十二月八日)
P) 先週前半は、無計画で生活がだらけてしまったが、後半は良かった。このいきおいでつっぱしろう。
T) 今度のテストはがんばったね。心配していたようだが良かったね。“継続は力なり”その意気で今後も努力して下さい。期待しているよ。(十二月十日)
○生徒への“共感的理解を励まし”を心がけての対談である。
○生徒は書くことにより、また読むことにより自分の日常生活を振り返って反省しているようすがうかがえる。
(三) 学級担任外による活動
1) 教科担任による活動
悩みの調査によると、悩みの八○パーセントは、○学習の仕方が分からない。○学力の不足 ○学習の意欲がわかないなどの悩みである。
このことから、学業指導を重点として実施した。
2) 校長、教頭による活動
担任から依頼されて、また学校生活のなかで、時と状況に応じて実施してきたが、これらの先生がたのちよっとした言葉が、生徒にとって大きな感動をよぶことも分かった。
3) 部活動の顧問等による活動
“共に汗を流しての活動、自己を強く前面に出す活動”のなかでは、生徒の心をうかがうのは割合容易である。
4) 養護教諭による活動
養護教諭のもつ生徒への母親的接し方は、受容的理解そのものであろう。
一般の先生から生徒の受ける“管理、訓育”とはまた異なったアプローチができる。
5) その他
全職員による“一声運動や日常生活の観察メモ”などを、年間活動のなかに位置づけ、教師と生徒の交流や生徒理解活動の日常化を図ってきた。
六 おわりに
現代の生徒を取りまく生活環境、なかでも社会環境は急激に変化してきている。
この社会環境の変化は、心の振幅の大きい中学生の健全育成に、大きな影響を与えていることは当然であろう。
そしてまた、このことが、中学生の個々の性格や考え方の多様化となって現れてきている、といっても過言ではない。問題行動をおこす生徒の説明に「y=f(P.T)」の学説がある。Pは本人の性格であり、Eは本人を取
憩いの庭でのグループ相談
個人面談風景